「大殺界」「地獄に堕ちるわよ!」の強烈ワードで一世を風靡した占い師・細木数子。テレビや出版界を席巻する一方、霊感商法や裏社会とのつながりをささやかれた彼女の素顔とは。
かつて日本中の茶の間を席巻し、ある種の“恐怖”と“熱狂”を巻き起こした細木数子の光と影。
細木数子役を戸田恵梨香が、そして彼女の鎧を剥ぎ取り、真実の姿を暴こうとする作家・魚澄美乃里役を伊藤沙莉が務める。
物語は、美乃里が取材する形で進められ、細木は幼少期からの壮絶な人生を語っていきます。

1938年に東京・渋谷で生まれた細木は、終戦直後の少女時代、飢えに苦しむ生活を送っていました。
母・みね(富田靖子)や姉妹たちと「おでん屋」を切り盛りしていましたが、楽な生活にはほど遠く、17歳、高校生の頃に年齢を偽ってキャバレーで働き始めます。
すぐさま頭角を表してNo.1になるも、同僚のホステスにいじめられるようになり、それを見かねたオーナーの落合 元(奥野瑛太)は、彼女に手を差し伸べ、二人は体の関係に。
しかしその実態は、目をつけたホステスに手を付けて、お客に斡旋するのが目的でした。
「体は売らない!!」と拒否した数子は、母の店の常連である投資家の中園榮一(高橋和也)に相談し
東京駅近くに小さな店舗を投資してもらいます。
軽喫茶「ボニー」と名付けた店で、おにぎりと味噌汁、サンドウィッチとコーヒーといった立ち食いの朝食と昼食を提供。時間のないサラリーマンには大いに受けて、店は繁盛しました。
その店を売ったお金で新橋にクラブ「潤」をオープン。銀座のように気取っていない店はまたまた繁盛しますが、数子は学のないことを嘲笑されます。
一念発起して数子はあちこちの大学にもぐりこんで、政治や経済を猛勉強するのでした。
そしてついに、20歳そこそこで、再び中園に500万円を融資してもらい、銀座にクラブ・カズサを構えました。
勉強の成果もあって政界や財界の大物も通うようになり、店は大成功。数子はたった1年で中園に借金を返すことができたほどでした。
そんな中、カズサにやって来た青年・三田麻呂彦(田村健太郎)は、数子に一目惚れし、毎日通うようになります。
数子は彼が大地主の息子だとわかると態度を一変させ、彼のプロポーズを受けて三田家に嫁ぎます。しかし姑や使用人からは受け入れられず、何もさせてもらえないことにブチ切れ早々に離婚。
東京に出戻った数子は、またしても中園の投資で銀座に2軒、店を追加しました。
そんな中、不動産業を営む須藤 豊(中島 歩)が来店。
数子は金払いの良い須藤に好感を抱き、年末で困っている須藤にお金を貸しました。
わずか1週間後、利子までつけて返済してきた須藤を信用した数子は、須藤と共同でナイトクラブを経営するため、2億円の物件を契約。
1969年、赤坂に大型サパークラブ「艶歌」をオープン。数子が25歳の時でした。
しかしそんな数子を待っていたのは、またしても裏切り。
須藤はお金を一銭も払っていなかったどころか、預金をすべて引き出して逃亡したのです。
裏で糸を引いていたのは、須藤とつながっていたヤクザの組長・滝口宗次郎(杉本哲太)。
数子は借金を肩代わりしてもらう代わりに滝口の妾となり、店を乗っ取られたのでした。

ある日、ナイトクラブにやって来た滝口の部下たちが騒ぎを起こし数子を脅し始めたのを見て、客として来ていた堀田雅也(生田斗真)が場を収めました。
日に日に親密になる二人を見て滝口は激昂し
嫉妬で堀田との賭け勝負に臨みますが惨敗。
滝口はナイトクラブの権利書を手放し、さらにシャブで稼いでいたことがばれ、興生会も破門になります。
細木の「生涯でただ一人本気で愛した男」江戸川一家総長・堀田雅也は、細木と30年以上内縁関係にあった小金井一家の総長、堀尾昌志と言われています。
その頃、数子は多額の借金を背負って自殺しようとしていた演歌歌手・島倉千代子(三浦透子)に出会います。千代子の借金を肩代わりしたのは38歳の時でした。
数子は千代子と2人で馬車馬のように働き、ついに数子は千代子のマンションも買い戻したのですが、数子は千代子を騙し、多大なギャラを巻き上げ続けたのが真実でした。
千代子は数子のもとを去りました。
次に数子が目を付けたのは占い師。
必ず目的を達成させるのが数子は四柱推命を猛勉強し、1年で本を出版。これまでのコネや知識を活かし、本はあっという間に50万部を達成、「六星占術」を提唱して占い師として大ブレイクします。
さらに数子は歴代総理の指南役として絶対的な権力を持っていた安永正隆(石橋蓮司)に目をつけます。彼の懐に入り込み、ついには戸籍上、彼の妻となるのです。
テレビ出演を重ね、「世界で最も売れた占い本」としてギネス世界記録を樹立するほどの成功を収める一方で、霊感商法や裏社会との関係など、黒い噂も絶えませんでした。

とまぁ、壮絶な人生ですね。
私でも「六星占術」の本、持ってますし、テレビに出演しているのもよく見かけました。
細木数子といえば、ややふっくらしたイメージですから
戸田恵梨香さんでは細すぎるんですけど、あの迫力が出せるのは流石です。
細木を取材し、シングルマザーで頑張りながら小説を書く伊藤沙莉さんも、演技の巧い方ですが、迫力という点では押され気味でしたね。もちろんそういう役割だから仕方ありませんが。
そのほかのキャスティングもみなさんハマっていて、なかなか良かったです。
母親役の富田靖子さんの老けっぷりが凄かった!

原作は溝口敦による『細木数子 魔女の履歴書』
ドラマの中では、魚澄美乃里の小説は日の目をみないような流れでしたが、実際は細木の絶頂期に『週刊現代』(講談社)で連載されました。
細木から6億円の損害賠償裁判を起こされながら、彼女をテレビ降板へと追い込んだルポルタージュです。
ドラマではあまり詳しく描かれていませんが、数子の父親も暴力団関係にも幅広い人脈をもっていたようですし、母親のやっていたおでん屋は表向き、その実は「娘茶屋」という店名そのものの売春斡旋業であり、数子も中学生のころから客引きをしていたとか。
そういう境遇で育ったのであれば、まずは水商売から始めるのは自然なこと。
それにしても商売の才覚や、目標に向かって猛勉強するパワーなどはやはり人並外れていて凄い!
お若いころは美人だったと思われますし。

「こいつは金になる」と見分ける嗅覚はあるのに、惚れた男にはとことん騙されてしまうというのも面白いですね。
それにしても画面上、登場するのがほとんど男性ばかり。
道行く人も、お客も、男男男!
女性のほとんどは家庭に収まっていたのか、働いているのは水商売関係のみ。学歴や家柄が乏しく、女性の社会進出も限定的だった時代では、芸能や水商売だけが出自が問われない数少ない活路だったのでしょう。
当時は政治経済を動かす男性のフィクサーとして暗躍した女性も何人かいたと聞きます。
水商売から芸能界、そしてメディアと、独特の嗅覚で渡り歩いた細木数子。
様々な「興行」には、すべてヤクザが絡んでいた時代。
得体の知れない欲望を抱えた人物が集まってくる界隈は、今とは比べ物にならないぐらい、魑魅魍魎が闊歩する世界だったはず。
視聴率という数字に踊らされ、細木数子を祭り上げたのは、他ならぬテレビ業界。
戦後、芸能やテレビ、メディアの周縁で渦巻いていた胡散臭い裏事情は、とても現在の地上波では放送できないと思われます。
実はこのドラマ、少し制作にかかわっていました。音楽全般と、サパークラブ「ENKA」のシーンです。
















