あまろっく | akaneの鑑賞記録

akaneの鑑賞記録

歌舞伎や演劇、映画、TVドラマなど鑑賞作品の覚書

 

 

 

巨大な閘門“尼ロック”によって水害から守られている街・兵庫県尼崎市。

 

 

 

 

この街で生まれた近松優子は、「人生に起こることはなんでも楽しまな」が口グセの能天気な父と、いつも優しい母のもとで育った。
町工場を営むもご近所さんと話し込んでばかりで働いている気配すらない父のようにはなりたくない、と優子は幼少期から勉強でも何でも全力で励み、大学卒業後は東京の大手企業で働いていた。
しかし理不尽なリストラで失業し、39歳・独身にして優子は再び尼崎に戻ってくる。

 

定職に就くことなくニートのような毎日を何年も送っていた。

 

 

そんなある日、父が再婚相手として20歳の早希を連れてくる。

ごく平凡な家族だんらんを夢見る早希と、自分より年下の母の登場に戸惑いを見せる優子。

 

 

 

 

ちぐはぐな3人の共同生活はまったく噛み合うことがなかったが、ある悲劇が近松家を襲ったことをきっかけに、優子は家族の本当の姿に気づいていく。
年齢も価値観もバラバラな家族が、さまざまな現実に立ち向かうなかで次第にひとつになっていく姿を描いた人生喜劇。
 

 

 



これは掘り出し物というか、なかなか良かったです!
今年初めて、泣いちゃったな。

まず、主要キャストが全員関西出身というこだわりが素晴らしい!
全員アテガキかと思うほど、キャラクターも演技もピッタリはまっていて、まずそこで作品の世界に引き込まれます。



●近松優子(江口のりこ)

 

 

小学生のころから作文で表彰されるなど、真面目で何でもきちんとやらないと気が済まないタイプ。
京都大学に進学し、東京の大手企業に就職してからも、プロジェクトで表彰されるなどエリートコースを邁進。

 

 

しかし、常に全力で頑張る優子は、小さい頃から協調性がなく、自分に厳しいのと同じく他人にも厳しいため、いくら仕事ができてもチームの和を乱す嫌われ者であり、ある日いきなりリストラされてしまいます。

 

 

実家に戻っても何もやる気になれず、ずっとニートのような毎日を過ごし、夜は幼なじみの鮎川太一(駿河太郎)がやっている駅前のおでん屋台で愚痴をこぼす日々。

 

 


江口のりこさんは大好きな女優さん。
標準語の演技をすることも多いですが、どこかしっくりこないんですよね。
やっぱりバリバリの関西弁で「しばきあげるぞ!!」なんてキャラだと本当に落ち着きます。素敵!




●父親の近松竜太郎を、優子の子供時代は松尾諭さんが


成人してからは笑福亭鶴瓶さんが演じているのですが



結構似てますよね!!全然違和感ありませんでした!

 


中村ゆりさん演じるお母さんも、とても優しくて、そんなお父ちゃんのことが大好きなんです。

 


ご近所さんと遊んでばかりなのになぜか憎めず、周囲から愛されている父、

 

 

「人生に起こることはなんでも楽しまな」が口グセの父は、リストラされて突然舞い戻ってきた優子を面白がって受け入れ、理由も聞きません。

そんな父が突然、「結婚する」と宣言して連れてきたのは20歳の早希

 

 



●市役所務めをする早希は、美人で明るくて働き者。

 

子供の頃、父親が浮気して出て行ってしまい、働きづめの母を早くに亡くした早希は、いつも独りぼっちだったので、なによりも「家族団らん」に憧れていました。

 

 


中条あやみさんが、本当に良かった!!
関西出身ということも知らなかったのですが、美人で守られるキャラではなく、どんなに優子が悪態をついても、全然めげないし、屈託のない笑顔でグイグイ行動するんです。
ひねくれたところ、媚びるところが全くなく、知らないことや、できないこと、間違ったことも素直に受け止める性格で、みんなに愛される早希。

でも本当は、寂しい辛い幼少期を過ごしながら、いつも笑顔でいようと心に決め、独りで頑張って耐え抜いてきた、強い女性なんです。
 

 

 

 


ある日、早希は優子にお見合い話を持ってきます。
優子と同じ京都大学出身で、商社マンの南雲広樹(中林大樹)さん。

 

 

当初は全く相手にせず、写真も目の前で破り捨ててしまった優子ですが、実際に会ってみると、物理学的な技術視点でもビジネスプランの組み立て方なども非常に話が合います。
ニート生活中、そんな話題に触れることもなかった優子は、すっかり彼と打ち解け、結婚も意識するように。

 

 


彼もまた凄く良いキャラでした。
超エリートなのに、朴訥で正直。
実は京大時代から優子のことを知っていたんです。

 

 

 



ネタバレですけど、父の竜太郎は亡くなってしまいます。
「もう家族でもなんでもないから、すぐに出て行って。若いんだから再婚すればいい」という優子に対して、早希は「絶対に出て行かない。竜太郎さんの残した町工場を守っていく」と言うんです。




自分の人生のペースを乱された優子と、彼女と家族になりたい早希とでは、価値観が全く合わず、衝突してばかりなのですが、二人で喧嘩しながら生活していくうちに、優子は自分がどれだけ両親に愛されて育ってきたかに気付き、早希も笑顔に隠して頑張ってきた辛さを打ち明けられるようになっていきます。

 

 


40歳の娘と20歳の母親。

 

 

 

勉強と仕事ばかりだった優子は、精神的に大人になり切れていないところがあり、子供のころから苦労した早希の方が、大人だったのかもしれませんね。
それが段々と入れ替わっていくようにみえる流れも秀逸だと思いました。




ちょっと気になったのは、以下の三点。

能天気で明るい父と、いつも優しい母のもとで育ったのに、優子はなぜそこまで人間嫌いでいつも不機嫌なのかがしっくりこない。そんなトラウマになるほどの事件もなかったようだし。


早希の年齢設定が20歳はちょっと若すぎるのでは?
中条さんをキャスティングするのであれば、25歳ぐらいでも良かったと思います。


1年後の近松家の様子は微笑ましいラストでしたが、南雲広樹の身の振り方に関しては、もう少し何か伏線とかあった方が良かったかな。会社での様子とか。

 

 



家族だから感じる「めんどくささ」。
人情とか下町のおじちゃん&おばちゃん。

といったベタな設定なんですが、関西弁の軽妙な会話が、ベタベタした重さを感じさせず、「おもろい」空気で包まれた作品です。



阪神淡路大震災もちゃんと取り入れられていますし、笑ったりホロっとしたりしながら、

人間って

人生って

おもろいなぁ。
ええもんやなぁ。


って思えたら最高ですね。