イン・ザ・ハイツ | akaneの鑑賞記録

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歌舞伎や演劇、映画、TVドラマなど鑑賞作品の覚書

 

 

 

ミュージカル「ハミルトン」でも注目を集めるリン=マニュエル・ミランダによるブロードウェイミュージカルで、トニー賞4冠とグラミー賞最優秀ミュージカルアルバム賞を受賞した「イン・ザ・ハイツ」を映画化。

 

変わりゆくニューヨークの片隅に取り残された街ワシントンハイツ。祖国を遠く離れた人々が多く暮らすこの街は、いつも歌とダンスであふれている。そこで育ったウスナビ、ヴァネッサ、ニーナ、ベニーの4人の若者たちは、それぞれ厳しい現実に直面しながらも夢を追っていた。真夏に起きた大停電の夜、彼ら4人の運命は大きく動き出す。「クレイジー・リッチ」のジョン・M・チュウ監督がメガホンをとった。
 

 

 





いや~楽しかった!
音楽がパワフルで、感動的で、なんかもうずっと泣いてた。

原作は、ブロードウェイで大ヒットを記録した同名ミュージカル
いかにもミュージカルっぽい歌いあげる曲もあるけど、ほとんどがラップとラテンミュージックでメッチャカッコいいし、ノリノリ!
歌詞も1/3ぐらいはスペイン語だったかも。

 

 

 


ただ「This is Me」のようなインパクトのある名曲がないのは、少々残念。
 

 


ざっくり説明すると、街の人たちは地価の高騰により住み慣れた我が家を追われる経済的危機に見舞われていて、ウスナビたち4人の若者も金銭的問題から「この地で安住するか、ここでないどこかで夢を追うか」のジレンマに悩まされているというもの。
ラテン系の移民たちが多く暮らす「ワシントン・ハイツ」というエリアでの物語です。

 

出演者も全てラテン系の方々で、いわゆる「白人」は全く登場しません。
メインキャストだけでなく、大勢のダンサーたちもです。
ちゃんと歌って踊れる俳優さんがそれだけいる、っているのも凄いなと思ってしまいました。

踊りやリズムが身体に沁み込んでいるっていうのかな~
もう立ってるだけでセクシーだもん。
 

 


常に湧き上がる音楽
色とりどりの衣装
美味しそうな料理

何もかもがカラフルで、弾ける躍動感に満ちています。

 


あと、割とオープンセットが多くて開放的なのもいいですね。
街中で踊る群舞もたくさんあって迫力満点です。

 

 


オープニング。
ウスナビが狭いアパートで目を覚まし、店に出勤する流れや、主要キャストが次々に店に現れてルーティーンの買い物をしていくやりとり。
キャストをこうやって全部歌で紹介していく流れで、最初からテンションがあがってウキウキします。
 

 


ストーリーの運び方は舞台っぽく、セリフよりも歌の方が多いです。
あんまり深く掘り下げないし、主要キャストにはきっちりソロナンバーがあって、歌い終わりには拍手をしたくなる感じ。

 

 


移民たちの様々な苦労、将来を悩む若者、不法滞在、そういった問題をうまく盛り込んでいますね。
アパート1つ借りるのも非常にハードルが高かったり、あらゆるところで差別を受けたり、一生懸命生きていても夢を持ち続けられない、無力な私たち…
でもそんなことには負けない!と立ち上がり、それぞれに道を見つけてたくましく進んでいきます。

 

 

 


街中のみんながファミリーのように仲良くて、親身になって助け合う温かい雰囲気も心に沁みます。

 

 

 

 

 


主人公のウスナビは、ドミニカ共和国出身。

 

 

なぜ「ウスナビ」という名前になったか、というエピソードが面白いです。
8歳の頃、両親とともにNYに来ましたが両親は他界。
残してくれた小さな食料品店(コンビニ)を切り盛りしています。
お金を貯めて、いつか故郷に帰り、父親の店だったバーを再建するのが夢。
なんだけど、結末はちょっとね…ご都合主義というか。

 


ウスナビを演じるアンソニー・ラモスさん。
ステージで鍛えた歌も踊りも素敵なんですが、ちょっと言わせていただくと映画俳優としては華がないのが残念でした。
舞台では身体全体で表現できるけど、映画は顔がスクリーン大写しになっちゃうからね。
性格もちょっと優柔不断というか、なかなかに女心のわからない奴なので、う~ん…って思っちゃう。
 

 

 

 


ヴァネッサ(メリッサ・バレラ)

 

 

ネイリストとして美容院で働きながら、デザイナーを目指している女の子。
ちょっと プリヤンカ・チョープラーさん にも似ていますね。

超美人だし踊りも抜群でとっても素敵だった!

この二人の恋模様も大切なストーリーです。


 

 

 


ニーナ(レスリー・グレイス)

 

この地区で子供のころから一番成績が良く、住民の期待の星!
スタンフォード大学に入学したものの、ある問題をかかえて街に帰ってきました。
でもそのことをなかなか打ち明けられず…
彼女も可愛いですよね~歌も抜群でした!

父親はタクシー会社を経営していますが、大学の学費を払うのに一杯一杯。
でも娘の為に、と頑張るのですが…

 

 

 

ベニー(コーリー・ホーキンズ)

 

ニーナの父親が経営するタクシー会社の配車係。
ニーナとは高校時代から付き合っていました。

 

 

もちろんウスナビとも幼馴染です。
配車係なので、街の交通情報をラップに乗せて歌うシーンがカッコよかった~!
 

 


アブエラ(オルガ・メレディス)

 

彼女自身に子供はいませんが、街のみんなの育ての親として皆から慕われています。
自分も、自分の母も、移民として苦労を重ねてきました。
おばあちゃんですけど、歌うと凄いんですよー。
最後の最後、とても粋な計らいをしてくれて(涙)
 

 

 


そして、やたら「路上のかき氷売り」が登場するなと思ったら…
原作ミュージカルを生み出したリン=マニュエル・ミランダさんでした!

 


彼はピューリッツァー賞(文学など)、グラミー賞(音楽)、エミー賞(ドラマ)、トニー賞(演劇)といった“各界のアカデミー賞”の受賞歴を持つ俳優・演出家であり、唯一無二のヒットメーカーという凄い人なんです。

なんとなく見覚えがあって、調べてみたら「メリーポピンズ・リターンズ」のジャック役でした!

 



彼もプエルトリコの移民の息子であり、ワシントン・ハイツは実際に住んでいた街なんだそうです。

 

「イン・ザ・ハイツ」は25歳のときに執筆した作品で、ミランダ自身の切実な思いがこもっていますから、観客にも深く伝わるものがあるのでしょうね。
ミュージカル版はトニー賞4冠とグラミー賞最優秀ミュージカルアルバム賞を受賞し、今もなお愛され続けている作品。

 


調べてみたら日本でも今年の春、再演されていました。
ん-ーでもこのパワー、日本人に表現できるんだろうか。





この映画も、新型コロナウイルス感染拡大により、1年以上も公開延期となっていましたが、今年6月4日、ようやくアメリカで公開できました。アメリカがコロナ禍を乗り越え、再び「以前の日常」を取り戻した象徴として、映画ファンから熱狂的に迎えられたそうです。



プールでのダンスや、

 

 

NYの街角の給水塔から吹きあがる水も涼し気で

 

 

ともかく、この暑い夏に見るのには最高!
ぜひ大画面で、音響の良い映画館で楽しんでくださいね!