テッド・バンディ | akaneの鑑賞記録

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1970年代のアメリカを震撼させた殺人鬼テッド・バンディの実録ドラマ。
その凶悪さに加え、恋人の視点からの善人としての一面も描く。

 

 

 

 


1969年、ワシントン州シアトル。シングルマザーのリズ(リリー・コリンズ)は、バーでテッド・バンディ(ザック・エフロン)と出会う。

 

 

やがて彼女はテッドと暮らすようになり幸せをかみしめていたが、

 

 

誘拐未遂事件の容疑でテッドが逮捕されてしまう。

突然の出来事に戸惑うリズは、別の誘拐事件でテッドの愛車フォルクスワーゲンらしき車が目撃されていたことを知る。

テッドは誤解だと説明するが、数々の事件への彼の関与が判明する。



こちらがご本人。




セオドア・ロバート・バンディ(Theodore Robert Bundy、1946年11月24日 - 1989年1月24日)は、アメリカのシリアルキラーであり、誘拐、強姦、強盗犯である。

少なくとも1970年代から多数の若い女性を強姦、殺害するとともに死体に対する凌辱も行っていた。

死刑執行の直前に、10年以上も否認してきた殺人事件について自白を始め、1974年から1978年の間に7つの州で30人を殺害していることが明らかになった。被害者の実数は不明だが、おそらくはこの数字を上回る。

1975年、バンディは誘拐事件と強姦未遂によりユタ州で投獄され、初めて刑務所に入るも容疑を否認。
その後10年以上、捜査や裁判が繰り返され、1989年1月24日ようやくフロリダ州刑務所で電気椅子による死刑が執行された。
 

 

 


彼は色々な職業を転々とし、大学で良い成績を修めていた時期もあるようですが、実際は泥棒を生業としていたようです。
物を盗んで所有するという概念は、強姦や殺人にも通ずる重要な動機であり、彼に言わせれば、性的な暴行は犠牲者を「完全に所有」したいという彼の欲求を満たすものだと。

「究極の所有ってのは、要するに、命を奪うということだろ」
「そして...遺体を物理的に所有することだ」


バンディは手法が体系的で計算高い犯罪者であり、長期にわたって身元の特定や逮捕を逃れるために当局の方法論についても該博な知識を有していたそうです。
音が出たり、銃弾の証拠が残る銃器はあえて使わず、犯行現場からは指紋どころか、それ以外の有罪を証明する動かぬ証拠が見つかったことはなく、彼は長期にわたる裁判でも、自分の無実を主張するためにこの事実を繰り返し強調していました。





ザック・エフロンが凶悪犯を演じる、ということで見に行ったのですが、内容は非常にぬるかったですね。
テッド・バンディを題材にした映画は、すでに過去6本作られていて、色々やりつくしているのかもしれませんが、殺人犯として裁かれているにも関わらず、彼がハンサムで非常に女性から人気があった、という面しか描かれていません。

 


初めて「シリアルキラー」という言葉が使われた人物であり、相当残虐な殺人を数多く行っているのに、犯行に及ぶ描写は、最後の最後に1回だけ、それも女性を殴って車に引きずり込むシーンが少し再現されただけです。

 


今ほど科学的な操作方法が確立されていなかったとはいえ、犯行現場にほとんど物的証拠を残さない並外れた技術を持っていたようですが、そういったシーンも全くない。
犯罪手口を披露するような描写は、模倣犯に繋がるのかもしれませんが…

 


R指定でないから、首を切り落として自宅に飾っていたとか、鉄の棒で女性の体内を強姦したとか、死体に対する凌辱まで行っていたなど、身の毛もよだつ犯行の欠片も描かれません。

 





国選弁護士は使えないと、自らが弁護士となって裁判で熱弁をふるいますが「僕はやっていません」の一点張りで、嫌疑を覆すような鮮やかな答弁があるわけでもない。


リズと疎遠になったあとは、もう1人の女性キャロルが、彼を支えスポークスマンとしても活躍するのですが、面会室でエッチしたり、いきなり法廷でプロポーズして結婚、証人として証言させるなど、事実かもしれませんがとてもIQ160の人がやることとは思えませんね。



犯罪を推奨するわけではありませんが、「お!!」っと驚くような手口や鮮やかな弁舌など、悪人ではありながら何か人を引き付けてやまない魅力とか、顔を背けたくなるほどの冷たい残虐性とか、そういうインパクトがないと、テッド・バンディを取り上げる意味がないと思います。

童顔なザック・エフロンも30歳を過ぎ、青年としての落ち着き、渋みも出てきて良い感じなのに、こんな中途半端な映画ではもったいないです。

 

 


彼の生い立ちが人格形成にどのような影響を与えたのか

 

捜査はどのように行われていったのか

 

リズとキャロルの2人と、殺されてしまった女性たちとは何が違ったのか

 

 


そういった掘り下げも全くなく、ただ2人の女性との甘々な関係と、だらだらとした裁判シーンばかり。

「クリミナルマインド」や「CSI 科学捜査班」が大好きな私としては、まぁなんともつまらない映画でした。