五月花形歌舞伎 in 松竹座 | akaneの鑑賞記録

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澤瀉屋と中村屋の競演!!これはもう松竹座、行くでしょ!
そんでもってサイコーーーーーーーでした!
これぞ歌舞伎、ザッツエンタテインメントですよ。
もう本当に楽しくてワクワクして、東京だったらもう1回ぐらい頑張って観に行けたのにな~。
でもって、松竹座の大きさもなにげにちょうど良いよね。
歌舞伎座みたいに広すぎず、とても密な空間、魅力が濃縮された感じ
昼の部は猿之助さん、夜の部は中村兄弟が、それぞれのお家芸の演目を披露。
忠実に基本を移して、ということころから少し余裕も出て自分自身のカラーをちゃんと出してきているし、体が存分に動く花形ならではのパワーも炸裂していて本当に言うことなし!楽しい!
3人のスターを、門之助さん、彌十郎さん、竹三郎さんらがしっかりと支え、あとは弟分である歌昇くんや児太郎くんも負けじと伸び伸びと演じていて、とてもはつらつとした若い座組。

弘太郎さんやいてうさんが活躍しているのも嬉しい。

●戻駕色相肩
菜の花畑に満開の桜が咲いた京の紫野に、浪花の次郎作こと勘九郎さんと吾妻の与四郎こと歌昇くんが担ぐ駕籠が島原から戻って来ます。二人がひと休みしつつ、互いに上方と江戸のお国自慢を踊りで語り始めます。やがて駕籠の中からおませな禿の児太郎くんを呼び出し、京、大坂、江戸それぞれの廓話を語っていきます。

そのうち、次郎作と与四郎の懐から連判状と香炉が落ちて…。
実は次郎作は石川五右衛門、与四郎は真柴久吉だった!というオチ。
二人の踊りが生き生きしていて、衣装のぶっ返りもあって目にも美しく楽しい舞踊です。

●金幣猿島郡
これずっと見たかったんですけど、遠征に行けずやっと念願かないました。
恋煩いのため盲目になってしまい、お主のために身代わりとなって死ぬのも構いません…としおらしかった清姫が、名刀村雨丸の威光で開眼するやいなや、

 

きゃーーー!私の愛する頼光様じゃないの!!
なに?七織姫?ざけんじゃねーよ!

私の頼光様に触るんじゃない!

身代わりで死ぬ?は?あり得ないんだけど!

 

みたいに豹変するのが素敵!猿之助さんのドSキャラ満開。
頼光と七織姫を逃がすため、結局母親に殺されてしまい、七綾姫への嫉妬に狂って蛇体と化します。
場面変わって忠文のターン。

つぎの当たった束帯姿。七織姫の「兄を助けて」の願いで平清盛を討たなかったため、落ちぶれてしまいました。俺様がこんな目にあったのに、頼朝&七織姫はイチャイチャしやがって!とこちらも鬼となってしまうのでした。
近江国三井寺では、頼光が清姫や忠文の菩提を弔うため鐘を釣り上げると中から寺内に匿われていた七綾姫が現れます。早速二人が祝言を上げようとしたところに、白拍子花子が現れ、忠文と清姫の霊が入り込み、頼光と七綾姫を祟り殺そうとします。
勘九郎さんが、エリマキトカゲ衿&プリュッツェル紐のお着物着てるのって珍しいですよね~!
七之助さんの七織姫は、本当に可憐で「私なにもわかりません…」みたいなふわ~っとしたお姫様。
押し戻しで登場した歌昇くんも立派!!ちょっと小柄だけれど、動きもキレッキレだし、こういう荒事ピッタリ。
猿之助さんはもう圧巻ですね。何役演じてもそれぞれ存在感があって余裕で憎らしいぐらい(笑)
奴道成寺の元になったという三面の踊りがまた見られましたが、こちらの方はバリバリの踊りというよりはストーリーを語る舞いの感じ。
最後、黄金の紙吹雪(大量!)のなか、悠々と飛び去って行ったのでありました。

たこ焼き食べて(笑)夜の部で~す

●野崎村
以前、東京公演でも同じようなメンバーで見たかな。
昼の部のほわ~っとしたお姫様から一転、チャキチャキの村娘お光ちゃん、七之助さん。
これがもう可愛いんだ!!ビビビビビーが超可愛いんだ!!

15~6歳ぐらいなのかなぁ。
お染を追い返そうとするところが、ほんと女の子っぽい動きで悶絶。
もう幸せの絶頂期だもんね。大好きな久松さんと今夜祝言だもん。
対する児太郎くんのお染は、これまたほわ~っとしたお嬢さま。
「あら?私嫌われているのかしら?どうしてなのかしら???」って全く状況が呑み込めてないです。
彌十郎さん久作、じんわりと優しいお父さん。
最後の最後、お染久松を見送って「ととさま!」って泣き崩れるお光ちゃんが…か細くて哀しい。
こちらも涙ぐんでしまいます。

●怪談乳房榎
さーてこちらは勘九郎さんオンステージ!!
もうどうなってるのか全然わからない電光石火の早変わり!
なんかもう弾ける若さだよね!眩しいよ!
特に水の中での早変わりってどうするんだろう。
着物も濡れててぐっしょり重いし、水中で入れ替わってるんだもん。

以前見た時に比べると、菱川重信に重みが増して、大人の風格が出てきたみたい。
下男正助の愛嬌にも余裕が出てきた感じ。
うわばみ三次はもう独壇場でしょ!

あの白地の浴衣姿で、たんっ!って床に飛び降りて花道で例のポーズ!

これがカッコ良くないはずがない!きゃーーー!

あの動き考えた人天才。
磯貝浪江は猿之助さん。もうね、ネチネチとほんと憎たらしい。
あんな怪しさ全開の人、弟子にしちゃダメです。
七之助さん、今度は登場した瞬間から、色っぽい人妻~!

しっとりして粋な女房ですよ。

全く異なる三役を見事に演じ分けてました。そんでもってどれも美しい。

本水を使っての立ち回りの前、準備に時間がかかるので、幕外に弘太郎さんが出てきて「ビニールシートでの水のよけ方講座」をやってくれます。

お話が面白くって退屈しなくていいね。
その少しの幕間なのに、勘九郎さんってば2階席、3階席に突如現れて!

客席大沸きです!

8年の時を経て、正助が育てた真与太郎と松井三郎は無事磯貝浪江を討ち果たしめでたしめでたし。
「本日はこれぎり~」まで付いてて、気持ち良く打ち出されました。
本当に全演目が楽しくて大阪まで行った甲斐がありました。
松竹座グッジョブ!7月も遠征するよ!