四月大歌舞伎 | akaneの鑑賞記録

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歌舞伎や演劇、映画、TVドラマなど鑑賞作品の覚書

 

今月は昼夜通しです!

 

●醍醐の花見
秀吉が醍醐寺で催した大掛かりな花見の席を元にした舞踊。
淀殿(壱太郎)と松の丸殿(笑也)のバチバチバトルが面白い。
三條殿(右近)が淀殿のなだめ役で、二人で女子トークしてるっぽいのが可愛いです。
北の政所が舞っているとき、秀吉が「ここへおいで!ここへお座り!」って
隣に淀殿を侍らせてお酒飲んだりする。
曽呂利新左衛門が萬太郎なのはちょっと若すぎる感じですね。もっと老練の役者さんがやる役だと思うけど、でも萬太郎君は可愛いし声が素敵だからいいの。
実直な雰囲気な大野治長に歌昇君。堅物な感じがピッタリ。
淀殿がちょっと色目使ったりしてる。
一転にわかに掻き曇り~~豊臣秀次(松也)の亡霊が登場!
それをやっつけるのは石田三成(右團次)
この二人の殺陣が結構スピーディーでカッコよく、最終的に全部かっさらっていったのでした。

 

●伊勢音頭恋寝刃
染五郎さんの貢はピッタリですね。
でも通常カットされる「追駈け 地蔵前 二見ヶ浦」は必要かな~?
ドリフのコントそのものみたいなゆる~いコーナーですよ。
隼人くんの奴姿を愛でるコーナーですよ。
「お家騒動=刀と折紙の紛失」は定番なので、わざわざ見せる必要ないかも。
油屋に入ってようやく物語がスタートした感じ。
阿波の悪者3人衆がダイコンで嫌。
猿之助さんの万野はニンだと思ったけれど、ちょっときつすぎるというか、すごくわかりやすい意地悪おばさんなんですよね。お客さんにもすぐ受けちゃうような。
キャラクターがさっぱりし過ぎてる感じ。猿之助さんのサバサバした性格が出ちゃってるのかな~。
もうちょっとどんよりした湿っぽい底意地の悪さみたいなのが万野なのではないかと。
夏のじめ~っとした嫌な暑さ、みたいなものも感じなかったな~。
全体的にサラッと現代的なお芝居でした。
だから妖刀で人を切りまくった割には「刀も折り紙も見つかった!めでたしめでたし」な終わり方なのが腑に落ちない。
映像も含めて何度か見たことはあるのですが、お芝居自体、シリアスなのかコメディなのか、今一つよくわからない演目の一つです。


●熊谷陣屋
昼ご飯を食べたので、ちょっと睡魔が…。
私的に熊谷陣屋はもう吉右衛門さんがデフォルトなので、それ以外はどうも受け付けないなぁ。
幸四郎さんの台詞回しがこの演目だとちょっと好きじゃない。
やたら相模に気を使ったり感情を露わにする感じも違うような。
「ちょっと相模に冷たくね?」ぐらいドーンとしていてほしいんですよね。
最後の最後「十六年は…」のところで、堰を切ったように悲しみに打ちのめされるのがグッとくるんです。
あと相模はどうしても玉三郎さん、雀右衛門さん、魁春さん、のイメージなので、猿之助さんだと物足りない。
っていうか、こんな風にがっつり古典で大御所と猿之助さんが組むっていうのもすごく珍しくありませんか?
猿之助さんっていつも座組の中で頭一つ抜きんでて余裕綽々な感じだったから。
なので改めて猿之助さんもまだまだ花形なんだなぁって思いました。
とても才能のある役者さんだから、これからもこのように古典をしっかり継承してもらいたいなと。
今回の座組はあまりバランスよくなかったけれど、次代を担う染五郎さん&猿之助さん育成演目でしたね。
染五郎さんの義経は、ちょっと今までより大きさを感じました。

 

●傾城反魂香
吉右衛門さんの浮世又平、すっごく若々しい!びっくり!
菊之助さんの女房おとくも、甲斐甲斐しくていいですね。
でもな~、又平って単に「どもり」なだけなのに、ちょっと頭の弱い子、みたいに見えちゃうのはどうかな~
知恵遅れじゃないもんね。言葉が不自由なだけで、心も体も普通!って言ってるんだから。
それにさー、まだ全然傑作とか書いてないのに「免許皆伝してくれ!名前をくれ!」って粘るのどうも納得できない。

挙句の果てに師匠の家の庭先で死のう!とかないし。
手水鉢に書いた絵もさー、なんか間抜けなんだよね。

もうちょっとおお!って感じの絵にすればいいのに。
でもそのあと、名前をもらえることになって狂喜乱舞、裃一式も頂いてナマ着替え。
吉右衛門さん大粒の汗を流しながら、歌ったり踊ったり大奮闘です。

 

ところでこのお芝居、傾城も反魂香も一切関係ない場面、通称「吃又」しかやらないですね~。

 

●桂川連理柵
上方の人形浄瑠璃って「心中もの」が多くて、ストーリーがごっちゃになりますね。
藤十郎さんの長右衛門、もう舞台にいる間ほぼずーーーーーーーーーーーっと辛抱。じ~っと黙って困った顔で俯いて座ってるの。

しんどい。見てる方もしんどい。

吉弥さんの意地悪継母がほんと怖くて!本領発揮!

染五郎さん、上方のこういう役好きよね。一人、関東勢として頑張ってました。言葉も自然だったし。

扇雀さん、色々気を使って旦那さんかばって、でもやっぱり悔しい、情けない、って気持ちもあって(縫物してるときとか)可哀そうだった。

壱太郎さん、長吉とお半を二役。どちらも良かった。

でもお半って14歳でしょ~?

間違いを犯すにはちょっと子供過ぎでは…って思うけど、16歳ぐらいでお嫁入りが当たり前な時代だからな~。

ちょっと辛いお話です。

 

 

●奴道成寺
今更なんですが、猿之助さん舞踊のリズム感の良さに驚愕。

音楽と完全にシンクロするだけでなく、アフタービートが効いてるっていうか、なんかもう音と一緒にスウィングしてる感じ。

すべての振りがピタッと決まるし、その決まりと決まりの間の動きもリズミカルで綺麗なんですよね。

すべてが弾んでいて緩急の取り方も完璧で、あまりにも心地良すぎてクセになりそう。
引き抜きもぶっ返りも鮮やかで、本当に楽しい!

三つ面のあと超ドヤ顔ではけていくのも素敵(笑)
所化の面々も踊るのですが、ちょっと差が付き過ぎで…。