あの事は、忘れもしない。

それは、私が中学生の頃。

親に捨てられたばかりで、心を閉ざしている私に、手を差し伸べてくれた人がいた。

名前はカイト。

カイトは、サッカー部で、肌が少し焼けていて、学年の中では、目立っていた。

きっかけは、私が何気なく廊下を歩いていた時。フラフラと歩いていて、カイトとぶつかってしまったんだ。

けれど、カイトは怒る様子もなく、『ゴメンね。大丈夫?』と、優しく声をかけてくれた。
その日はそれで終わってしまったんだ。

実は、私は、授業の時は、屋上へ行って、よくサボってた。

理由は、授業がつまんないから☆

退屈で退屈で、死にそうだったの。

いつもは一人の屋上。その時、バン!と、屋上の戸が開いて、カイトがやってきた。
すると、あれっ !?ってなって、

『君、あんときの子だよね!?』

って、びっくりして聞いてきたんだ。

そうだよっていうと、マジで~っていう反応だった。

暇だったから、ペチャクチャしゃべってた。

その日から、ちょくちょく屋上で会うことになった。

カイトは、すっごくにぎやかな子で、話していると、明るい気持ちになれるんだ。

ああ、この人は、他の人とは違うって心から思った。

のちに付き合うことになったんだ。

けれど、事件が起こった。

私たちは、付き合うことになってから、一緒に下校する約束をしてたんだ。

いつもは、カイトが私の教室までいてきてくれるんだけど、なぜかその日は遅かったから、
私が行くことにしたんだ。

自分の教室にカイトは居て、声をかけようとしたら、えっ?ってなったの。

カイトが、可愛い女の子と、キスしてたんだ。

その時、時間が止まったのかと思ってた。

足はガクガクして、声が出なかった。手もすごく震えていた。

その時、うっかりカバンを落としてしまって、ドサッって音がしたら、二人はバッて振り向いた。

そのあとの事?全然覚えてない。

ただ、家に帰ったら、ゼーゼーと息を切らしていて、ベットに倒れこんでしまったんだ。
多分、全力で走ったんだろう。

その夜は、ご飯も食べないで、ひたすら泣きまくった。

その日から、男性不信。

あんなに信じていた人にも裏切られた。

人を信じるのが怖い。
裏切られるのが怖い。

あの悪夢は、心に深い傷を残して行ったー。


つづく