お金は無ければ作ればいい
母の口癖だった。

私もその考え方自体は、悪くは思っていなかった。

ただ、作り方が嫌いだった。


母はよく、祖父母にお金を借りていた。
祖父母はそれなりにお金を持っている人たちだったけれど、母と祖父母はとても仲が悪く、お金のことで揉めることが多かった。

小さい頃から、すごい喧嘩をたくさん見てきた。
コップが飛んできて割れたことも、
階段で祖母が泣き崩れるのも、
祖父が大声で怒鳴りながら母に手を出すのも、
あっちへ行ってなさいと連れて行かれた祖父母の家の和室の扉からずっとのぞいていた。

でも結局、いつも最後には祖父母が母にお金を出した。
祖父母はいつも私に言った。

「あんたたちがご飯を食べられないのは見ていられないから」

と。
でも後々こんなことも聞いた。

「会えなくなるのを避けたかった」
「母が私や弟をどこかへ連れて行ってしまうのを避けたかった」
「まるで人質を取られていたようなものだ」

と。

1番嫌だったのは、私や弟が間に挟まれることだった。
母が祖父母に電話をしたら切られてしまうから、と、私がことあるごとに電話をした。

祖父母にお金を貸してくださいと電話をするのはすごく恥ずかしくて、
罪悪感もあって、
それでも、自分が生活するためのお金だったから、
母に頼まれたら断れなかった。

私の中では、
私が学校へ行くために、
習い事をするために、
そのためにお金が使われているのだから自分で頼むことは当たり前なのだ、
とまで思っていた。

挙げ句の果てには、頼んだのにすぐ貸してくれない祖父母に腹が立った時もあった。

最終的にはいつもくれるのに、なぜ毎回私に電話で色々と問い詰め、母と会い、喧嘩をする、と言う工程を挟むのだ、と。

自分が理不尽なことは分かっていたけれど、そう思わずにはいられなかった。

しかしこの後の話を考えると、こんなこと大したことないようにまで思えてしまう。

私が1番ありえないと思ってしまったのは、2人目の父が私と弟の実父に頼り始めたことだった。