祖父母の家に行ってからは、何もかもがバタバタだった。
弟なんて制服も学校指定の鞄も持ってくることができなかったから、学校に相談して一時的に貸してもらったり、、、

けれど、約1時間半ほどかかるものの、一応私も弟も祖父母の家から学校に通うことができたのは良かったかもしれない。

私たちは新学期早々、学校に事情を話し、祖父母も学校へ来て、それぞれの校長や担任、学年主任と話した。
学校は両方とも協力的で、生徒の意思が1番なので、と口を揃えた。



全く新しい生活のスタートだった。

目が覚めると朝ごはんがあって、お弁当があって、帰ってくると夜ご飯があって、家はいつもきれいで、窓を開けると山の美味しい空気が入ってくる。

頑張ろうと思った。
頑張らないとと思った。
でもそれは、お正月に誰もが思うことと同じように、薄っぺらくて、口先だけのことだったのかもしれない。



母はというと、それから顔を合わすことは無かったが、完全に壊れてしまった。

私の学校に、
「退学させてください」
と電話がかかってきたり、
弟の学校に突然行って校長に
「祖父母に子供を誘拐されたんです」
と訴えたり。

その度に学校から私たちに連絡が来て、どうしたらいいですか、と困り果てた先生の声が電話口から聞こえてくる。

どうしたらいいかなんて、分からなかった。

ただ散々考えた挙句、祖父母が出した答えは、親権を奪おうということだった。

母は高校にも中学にも、「私が親権者なんです」と主張し、学校側は親権者の言うことだから聞かざるを得ないと言った。

だから祖父母は、私に実父に連絡を取るように言った。

なぜかずば抜けた記憶力を持つ祖母が実父の住んでいる家の住所を覚えていたことで、今まで電話番号すら知らなかったのに、あっさり連絡を取ることができた。

私は手紙を書いた。今どう言う状況で、どう考えていて、これからどうしたいのか。
返事が届くまで、助けてくれる人がいる安心感と、その人に助けを求めてもいいのかという不安が、私の中で常にぶつかり合っていた。