わいおです!
8月16日。
今年のお盆はそれぞれの実家でゆっくり過ごしたMinxZone。
僕はおばあちゃんの家がある舞鶴という京都の一番北の海沿いの町にいた。
ここへ行くためによく利用するのがJR山陰線。
京都市内から舞鶴まで保津峡沿いを1時間半かけてゆったり運行する古い線。
今にも「世界の車窓から」のテーマが聞こえてきそうな穏やかな車内。
これが盆と正月の時期だけは非常に混む。
今回の帰郷は久しぶりにこの超混雑した山陰線を利用した。
ふと思い出す。
その昔、僕が小学校4年生のころ。
お盆シーズンを終え舞鶴から京都市内に帰るために乗った山陰線。
例によって車内は混雑。たった2両しかない車両の椅子に座れず、
つり革なんて気の利いたもんは
一切皆無の座席間の通路に1時間半立つことに。
最初は楽勝だと思ってたのに、少しずつ揺れに酔ってきて、
しかもそこに貧血の症状まで併発。1時間半の時間が永遠に思えた。
ああ、俺の人生はたった10年足らずで終わるのか・・・
そんなふうに思い始めた僕に気のよさそうなおじさんが声をかけてきた
「坊主!顔真っ青やんけ!座れ座れ!」
情けないことに僕は自分より5倍くらい上の年齢のおじさんに席を譲ってもらい
その時は命拾いした。
席で少し眠ったら体調も戻った。
京都駅到着前、起きた時にはそのおじさんはいなくなっていた。
今回も当然のごとく座れず、窓に映った通路に立つ自分の顔を見ながら
そんな昔のことを思い出していると・・・
後ろに立ってたリュックを背負った8歳くらいの男の子が床にへたり込んだ。
どうやら、一緒に保護者はいない。顔は真っ青だ。
そんな時、目の前の座席の初老のおじさんが
「僕、ここに座り。」
と席を立った。
少年はおどろいた顔を見せたが、消え入りそうな声で、でも確かに
「おじさんありがとう。」
と言った。
なんて人のできたおじさんだろう。
おい、反対の席でiPod聞きながら寝てる若造!聞いたか?今の!
俺はお前が実はさっきから起きている事を知ってるぞ!
それにしてもこんな事ってあるんやね。
僕は昔の自分に出会ったような不思議な気分になった。
二条の駅で先に降りた少年は、席を立つとき今度はさっきよりもっと元気な声で
「おじさんありがとう!」
と言った。
初老のおじさんは笑顔でこともなさげに右手を上げて答えた。
うおい!聞いた?今の!若造、起きろってば!
京都駅で一緒に降りたそのおじさんはちょっとだけ自分の腰に手を当てもみもみやると
しっかりした足取りで奈良方面のホームに消えていった。
何故か僕まで「ありがとう」を言いたい気分だった。
と言うことで、「今日もドラマを乗せて走る山陰線。」
そんなキャッチコピー思いついたんですけど、どうすかね?