『戦後日本のパラドックスを体現するエヴァ・ゴジラ』
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『庵野秀明監督の最高傑作』
日本版ゴジラに敬意を示したハリウッド版ゴジラの成功により企画が持ち上がった本作ですが、監督が「進撃の巨人」実写版が大不評だった樋口真嗣監督作品という事で非常に不安を感じていましたが杞憂でした。総監督である庵野秀明氏の作品として仕上がっていたからです。エヴァンゲリオンは本作の為の習作でした。
『エヴァンゲリオンはシン・ゴジラの習作』
庵野監督は、エヴァンゲリオンの四部作の第三作迄作り終えて精神的にかなり参った状況に追い込まれていたそうで、確かにエヴァ三作目のQには、私も疑問を感じる仕上がりでした。下手をすると総監督というよりは、ゴジラにおいて健康上の理由から庵野氏は監修的な立ち位置でしか仕事が無理かと危惧していました。
『ゴジラ対メカゴジラ』
私が生まれて初めて見た映画は1974年公開のゴジラ対メカゴジラだったのですが、立ち見の大人の間から覗いたスクリーンにドアップで登場したゴジラの姿が鮮烈でした。ストーリーは沖縄の本土復帰を記念し沖縄を舞台として作られたリアルな内容です。はやりゴジラには、戦後日本の抱える闇の部分が必要です。
『ゴジラとは戦後日本そのもの』
初代ゴジラは語り尽くされていますが、そこで描かれたのは原爆であり、米軍の無差別爆撃であり、ゴジラの姿は、英霊や戦没者の方々怨霊なのです。昭和29年になって漸く日本人が大東亜戦争の悲劇を、怪獣という比喩によって物語る事が出来るようになった訳で、その意味でゴジラは戦後日本が抱える闇なのです。
『新ゴジラ・真ゴジラ・神ゴジラ』
当然、庵野監督も今回のシン・ゴジラでは、徹底的に初代ゴジラを意識したそうですが、それが必要だったのも、我々平成の日本人が、東日本大震災の津波被害と原発事故を経験したからです。恐らくエヴァのQが失敗作に終ったのは、震災の傷が生々しい時期であり、庵野氏自身が震災を直視出来なかったからでしょう。
『ハリウッド版ゴジラとのタイムラグ』
大成功したハリウッド版ゴジラでもテーマは3.11だったのは明らかです。外国人である故に客観的に震災をメタファーとして描く事が出来た気がします。エヴァンゲリオン自体もある種、震災による破壊を予兆したようなストーリー展開です。それは特撮怪獣ファンである庵野氏がゴジラの強い影響を受けている証です。
『現代日本の社会問題が凝縮』
シン・ゴジラで描かれる多くは、政府の混乱とその対応です。しかし若手の政治家や官僚は、皆プラグマティックで、様々な問題に対し、真摯に対応し、議論を重ね、正しい選択を導き出します。ゴジラとは様々な現代日本の社会問題の総体なのです。現実の政府における官僚や政治家もこのようにあって欲しいですね。
『戦後レジーム脱却の観点から気になる描写』
映画とは良い作品であれば、ある程、社会の暗部も浮かび上がらせます。本作では、米国のエージェントの日本人の血を引く人物を何故か、純日本人の石原さとみが演じます。米軍はゴジラ攻撃の為に平気で東京を空爆しますし、日本が米国の51番目の州になりつつある現実が、否応無しに描かれており不気味です。
『最強のゴジラの姿を貴方も体験すべき』
本作のゴジラは、史上最強のゴジラです。恐らく核兵器でもゴジラを倒す事は出来ないでしょう。庵野氏が担当したナウシカの巨神兵が、ゴジラに乗り移って破壊力を増した感じでしょうか?最後の方の攻撃は、ある種ユーモアのセンスも感じさせる日本人の叡智を見せる本作ですが、見終わって拍手したくなりますよ。
『我々は戦後を脱せられるのか?』
ネタバレで無いトリビアを一つ申しますと、本作では、これから東京駅の直ぐ北側に作られる予定の超・超高層ビルを無惨に破壊しています。シリーズで建設前で破壊されたのは初でしょう。ただゴジラの命名も米国の命令で決まるなど、日本の属国振りが強調されますが、先ずはシビアな現実を受け止めるのが大切です。
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「ゴジラ対メカゴジラ」
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