お馴染みの明石のゲンバーズ和尚は、
長年サンタクロースの実在を信じていたらしい🤣
クリスマスブーツを手に母の実家でサンタさんを待つみんちゃん2歳❣️
間違いの悲劇 エラリー・クイーン 1999年
創元推理文庫 2006年
シェイクスピアの「オセロー」をミステリ風に脚色するためにハリウッドに滞在していたエラリーは、往年の大女優で、やはりシェイクスピアに傾倒して、「ハムレット」の舞台と同じ名前を持つ「エルシノア城」という豪邸に隠棲して若いジゴロ風の男優と同棲していたモーナ・リッチモンドが遺体で発見された事件に遭遇する。愛人とされたバック・バーンショウは、肉体だけでモーナと結びついた関係で、2人の間には愛憎相半ばし、バックが激昂してモーナの首を絞めて「殺してやる」と口走っていたことも召使らによって目撃されていた。
その事件の翌日モーナは遺言書を書き換えたが、誰を莫大な遺産の相続人にするかはずっと財産管理をしていた弁護士にも明かさなかった。
モーナはひどく神経質なところがあり、精神科医のラーゴ博士のところを、時には日に何度も訪れて悩みを相談する間柄だった。
そのモーナの遺体はバックの所持する銃で、至近距離から発射された銃弾で右の側頭部を撃ち抜かれて死んでおり、他殺か自殺かが焦点になるが、ラーゴ博士はモーナは自殺などするはずがないと証言する。
そして弁護士事務所の金庫に保管されてあった遺言書が何者かに盗まれているのが発見され、さらにモーナの手にBB弾が握られていたのもエラリーによって発見され、事件は当日召使いらに外出を命じていた名前の頭文字がBBであるバック・バーンショウによる犯行であると断定されバックは逮捕される。
しかしこれはシェイクスピアの呪いに満ちた怪事件の序章に過ぎなかった。
バックが犯行を自供した後も、モーナの遺言の内容が明らかになるに当たって、信じられないような事件の動機が明らかになる。それは一見法律の矛盾を突いた恐るべき物であるように思われたが、犯人の陥穽は次なる悲劇を生み、さらに第三の死者をも召喚せずにはいられなかった。
クイーンの悲劇4部作といえばクイーンがバーナビー・ロス名義で1934年に出版した「Xの悲劇」以下「Yの悲劇」「Zの悲劇」「ドルリー・レーン最後の事件」を指すが、本作はそれらとは直接の関係はない。
クイーン(ダネイとリー)はダネイがストーリーの梗概を考え、それを2人で練り上げた上でリーが執筆するいう合作作家であったが、これはダネイが梗概を書いた後でリーが死去して、彼らの聖典には加えられなかったもので、他の作家の手によって作品化の話もあったが、そのうちダネイの死去によってそれも叶わない幻の作品となっていた。日本のミステリ作家有栖川有栖川有栖がこの梗概を基に小説化する話などもあったが、アメリカ側との権利関係で実現しなかったりもしたが、ついにダネイの梗概のまま、出版された。
梗概(シノプシスではあるが、このまま小説としても読むことができ、長年2人が追い続けて来た、ダイイングメッセージや、マニュピレーション(犯人による操り)などのテーマが繰り返されている。
他に単行本未収録だった中短編7作も併録されている。
中編 動機
短編 結婚記念日
オーストラリアから来たおじさん
トナカイの手がかり
三人の学生
仲間はずれ
正直な詐欺師
この本は20数年前の出張時代に京都のAEON洛南ショッピングモールの書店で求めた物で、中学時代からのクイーンファンの私が、遂にその探偵エラリー・クイーンの登場する全作品を読んだことになった記念すべき一冊である。
エラリー・クイーン登場作品一覧(出版化されていない間違いの悲劇は入っていない)