魔女の海域 アリステア・マクリーン 1977年
ハヤカワ文庫 1990年
メキシコ湾に浮かぶ巨大な石油採掘ステーションシー・ウィッチ(海の魔女)。
石油王にして世界の大富豪トップ5に入るワース卿が最新の科学技術を駆使して建造したこの装置によって、安い石油の大量供給を可能にしたが、そのことは石油市場の独占を目指す陰の支配者たちには到底許されないことであった。
彼らは石油価格の暴落を防ぐため、世界有数の爆破の専門家であるクロンカイトにシー・ウィッチの爆破を依頼する。
周到かつ巧妙な手口でワース卿を追い詰めて行くクロンカイト。しかしワース卿の方もシー・ウィッチ防衛のために大胆な手段を取り、卿の美しい2人の娘の恋人であるミッチェルとルーマーというコンビの私立探偵も、知恵と技術でクロンカイトの野望を阻止しようとする。
手に汗握る海洋ジェット・コースターアクション‼️
石油採掘ステーションを巡る冒険は、この春に読んだ同じマクリーンの「恐怖の関門」があるが、
善玉と悪役がはっきり分かれていた「恐怖の関門」と違い、本作ではそもそも誰が悪役なのかわからない。
最初は石油メジャーにシー・ウィッチ破壊を依頼されるクロンカイトが主人公かと思うが、彼はそのために軍の兵器庫を襲い核兵器を盗み出し、これによって巨大採掘ステーションを海の藻屑と化そうと画策するが、一方のワース卿の方も、偽将校に兵器庫を襲わせ、水平射撃ができる高射砲や
機雷を盗み出し、シー、ウィッチに設置して防御を固める。両者の配下は悪人揃いなのである。
ここで2人の令嬢の恋人であるミッチェルとルーマーのコンビの活躍にスポットが当てられ、この2人が真の主役かと思わせるが、ワース卿の2人の娘マリーナとメリンダは誘拐されてシー・ウィッチに監禁される。
さらにメリンダと恋人のルーマーは敵に撃たれて重症を負い、舞台から退場する。
結果、ミッチェルと、70代の外科医グリーンショーの2人でクロンカイト一派と対決することになる。
一人ひとりの書き分けが上手く行かず、皆同じような行動パターンなので誰が誰だかよくわからない欠点があったし、白色人種は、顔にベビーパウダーを叩いただけで、重傷患者のように顔色を悪く装うことができるのかが不自然に感じた。
攻守が次から次へと入れ替わる展開は圧巻だった。

