その裁きは死 | われは河の子

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 その裁きは死 アンソニー・ホロヴィッツ 

 2018年 創元推理文庫 2020年


 離婚専門の弁護士、リチャード・プライスがその自宅で、ワインボトルでしたたかに殴打されたうえ、割れた瓶の首の部分で首の血管を斬られて殺害される。

 彼は大口の離婚訴訟を依頼人の勝利に導いたばかりであり、依頼人の不動産デベロッパー、エイドリアン・ロックウッドの元妻であり、敗訴した日本生まれの純文学作家で俳人のアキラ・アンノは事件の前にレストランで出会ったエイドリアンにグラスのワインを浴びせかけ、「ワインのボトルでぶん殴ってやる」と脅迫の言葉を投げかけていた。さらに不思議なことに、現場の壁にペンキで182という数字が書かれていた。


 推理作家で、テレビのミステリードラマの脚本家である私、アンソニー・ホロヴィッツ は、不祥事で警察を追われたが、その後は諮問探偵として警察から難事件の捜査を依頼される元刑事のダニエル・ホーソーンの伝記作家として彼の活躍を描く本を書く契約により、非公式のアシスタントとして捜査に加わる一方で、ホーソーンのことを好ましく思っていない粗暴な女警部に脅迫されて事件から手を引くか、ホーソーンの行動を逐一報告するよう命じられる。

 私は自分もミステリ作家である実績から、なんとか自分で事件の解決に迫れるのではないかと密かに心燃える。


 自らの私生活を微塵も明かさないホーソーンは、その傲岸な態度と秘密主義で私を苛立たせるが、彼が住むアパートメントの住人たちとの読書会に参加していたり、模型作りが趣味など、少しずつ彼の人となりが明らかになると同時に、事件の方では、リチャードとエイドリアンが学生時代からの友人であったことが判明したばかりか、やはり当時の友人の1人がエイドリアン殺人事件のわずか前日に地下鉄のホームから転落して轢死していたことがわかる。その死は偶然なのか?自殺か事故か殺人なのか?彼らにはかつての洞窟探検による事故でもう1人のメンバーを亡くした過去があった。


 sakuamystery 100さんの書評によって、伏線だらけの犯人当てミステリと知って取り寄せた本であった。


 本の作者がワトスン役という手法は、アメリカでエラリイ・クイーンに先立つ本格派の雄として一時代を築いたヴァン・ダインや

わが国では有栖川有栖の諸作に先例が見られ、決して目新しい物ではないが、そんな古い手法を現代に持ち込むことに加えて、暗号、見たて、シャーロック・ホームズなどのミステリマニアにはお馴染みかつ垂涎のお膳立ての中に、ゲイやスマートフォンやパソコン技術などの現在ならではの要素を組み込んだ上で構成された本格ミステリで面白く読むことはできたが、トリックとしての衝撃度は出世作の「カササギ殺人事件」の方が大きかった。


 ホロヴィッツ &ホーソーンシリーズの第1作目の「メインテーマは殺人」も読んでみらなくてはならなくなってしまった‼️