YouTubeの東映シアターオンラインで、1958年の東映作品、松本清張原作、小林恒雄監督の
「点と線」を見ました。
私は脳を壊してから、高次脳機能障害によって、登場人物の顔やストーリーを覚えられず、ドラマや映画は観ることが辛いのですが、
この作品は過去に何度も見ているので大丈夫でした。
原作は松本清張の代表作品で、社会派推理小説として、政界汚職と、刑事の地道な捜査と、綿密なアリバイ崩しを織り込んだ名作で、福岡県の香椎の海岸での心中死体の発見から、東京、鎌倉、そしてアリバイ工作で札幌まで行くというスケール感と、昭和33年当時の日本の景色や風俗を描き、感激ものです。いわゆる日本のトラベルミステリの走りと言っていい作品です。
特にトリックの一つとして、当時の青函連絡船が使われており、それは私に馴染み深い津軽丸型ではなくそれ以前の、4本煙突の洞爺丸型なのが印象的でした(トリックに影響はありません)し、昔の函館駅や札幌駅が映し出されていたのも感涙ものです。
青函連絡船廃止まで運航された津軽丸。
台風15号で沈没した洞爺丸。
2枚の写真はお借りしました
主演は新人俳優の南広(ウルトラセブンの宇宙ステーションV3のクラタ隊長役でも知られます。)
そして高峰三枝子、志村喬、加藤嘉などの芸達者が傍を固めています。
テレビドラマでリメイクされ、のちに再編集版も放映されていますが、原作の時代感をそのまま写し取った本作には比べ物になりませんでした。