クイーン犯罪実験室 エラリイ・クイーン 1968年 ハヤカワポケットミステリ 昭和51
クイーンの中短編集で、ダイイング・メッセージを扱った中編『菊花殺人事件』を始めとする16編の作品を網羅している。
原題はタイトルの頭文字を取ったQ.E. D.で、数学の解答末に記される『証明終わり』を意味している。
中心となる中編の『菊花殺人事件』には
鍵となる富豪の秘宝として、菊マニアの富豪がかつて日本で手に入れた、幕末の天皇であった孝明天皇から下賜された菊の紋章をあしらったダイヤモンドの首飾りというものが出て来るが、花弁が皇室を象徴する十六葉八重表菊という設定になっており、歴史的にもマニアックなクイーンの趣味を伺わせて興味深い。