マギの聖骨 | われは河の子

われは河の子

ブログの説明を入力します。


マギの聖骨 上下 ジェームズ・コリンズ 2005年

竹書房文庫 2012年


 マギ(MAGI)とは「東方の三博士」と訳される、キリスト生誕を祝いにベツレヘムを訪れた3人の博士を指し、新約聖書の「マタイによる福音書」ではマギは新しい王が生まれたことを星の知らせにより知り、エルサレムのヘロデ王に伝えたとされる。聖書内に性格な数の表示はないが、マギによって捧げられた贈り物が『黄金』『没薬』『乳香』の三種類であったことからマギの数も3人だったと推定され、それぞれガスパール・メルキオール・バルタザールとされ、キリスト教では信仰の対象となっている。

ドイツのケルン大聖堂に安置されていたそのマギの聖骨を略奪するためミサの最中に恐ろしいテロが勃発して多数の死者が出る。


 事態を重く見たヴァチカンは、アメリカ国防省内の秘密組織、シグマに協力を要請、新任のペインター・クロウ司令官は部下のグレイソン・ピアース隊長以下3名の闘う科学者たちを派遣する。


 シグマのメンバーはローマ国防省警察所属のレイチェル・ヴェローナ中尉と協力して調査に当たるが、そこには古代からキリスト教の異端として歴史に葬られてきたカタリ派・テンプル騎士団などの系譜を引き継ぐ秘密結社ドラゴン・コートが古来信じられてきた天から降る白いパン マンナに象徴される神秘の力を利用して恐るべき殺戮によって世界を支配しようとする野望があった。

 シグマとレイチェルの即席チームは謎を追いドラゴン・コートと闘いながら、ケルン・ミラノ・ローマ・ヴァチカンと激しく舞台を移動し、やがてギリシャ、ファロス島沖に沈むアレキサンダー大王の墓の発見から黄金の鍵を入手して、最終決戦の場所、フランス・アヴィニョンでいよいよ古代の秘密のヴェールが解き明かされる。


 昨年読んだシグマ・フォースシリーズ第2作目の「ナチの亡霊」に先立つ第一作目で、シグマの成り立ちからクロウ司令とグレイ隊長の関係、モンクとキャットの関係性などを詳しく紹介してくれる。

 「ナチの亡霊」のレビューはこちら



 併読していた「天海の秘宝」同様、歴史伝奇小説であり、ともにジェットコースター・アクションで2ページに1回アクションシーンがある感じで読むのにとても疲れたが、ナチの亡霊の時も感じたけれど、こちらの著者ロリンズの方が、獣医学博士号取得者であることもあるであろうが、科学的知識が,網羅されており、マンナをはじめ聖書に出てくる不思議な力を持つ白い粉をm状態における超電導体理論やマイスナー磁場などの科学的知見をはじめ、歴史的事象もすべて事実であると著者は冒頭で言い放つし、本文中では悪の秘密結社として描かれるインペリアル・ドラゴン・コートは中世以来実在するヨーロッパの慈善事業団体だというから恐れ入る。

 聖書の解釈や、アレキサンダー大王の秘密などの考察は歴史推理小説を思わせる説得力を持っていた。


 コロナの後遺症で集中力が持続しない間に読み進めたので疲れたが,面白かった。