櫻子さんの足下には死体が埋まっている14 | われは河の子

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櫻子さんの足下には死体が埋まっている

 キムンカムイの花嫁 太田紫織 平成30年

 角川文庫


 プロローグ『キムンカムイの花嫁』『夜啼く神さま(クンレヌクカムイ)は悪夢に唄う』エピローグ Special Short Story 『眠れる球根』から構成される。


 九条家に仕えるばあやさん沢梅の故郷ぬかびら温泉郷を訪ねた正太郎と櫻子さんは、かつて栄えた温泉宿沢屋に伝わる人喰い熊の物語を聞き、さらにまたしても若い女性の遺体を発見してしまう。

 さらに旅行に同行したばあやさんの孫で旭山動物園飼育員をしている沢さんに正太郎はなぜ櫻子さんと許婚者の在原さんがいつまでも籍を入れないのかという理由を聞かされ愕然とする。


 発見された遺体は遺書めいたメールを発信していた帯広市の女性のものであり、警察では自死と断定したが、彼女の遺体を司法解剖したのは櫻子さんの叔父の設楽教授の弟子でやはり法医学者の青葉さんだった。自分の進路を法医学者に決めていた正太郎は、彼との親交もあったが、その裏を読ませない冷ややかさに、一時は彼がシリアル・キラー花房ではないのかと疑惑の眼を向けていた。青葉さん自身が自殺説に懐疑的な事を知った正太郎と櫻子さんは、青葉さんを巻き込んで、事件の捜査に乗り出す。


 キムンカムイ(ヒグマ)とクンレヌクカムイ(エゾフクロウ)を中心にアイヌと北海道開拓期にストーリーを絡めた本巻のテーマは「友情と愛情」だろうか?さらに最後に青葉は思いもかけない一言を発する。