櫻子さんの足下には死体が埋まっている
雨と九月と君の嘘 太田紫織 平成25年角川文庫
シリーズ第三弾。『呪われた男』『お祖母ちゃんのプリン』『託された骨』の3編にプロローグ・エピローグで成る。
前巻で家族の愛情と人間関係に踏み込んだストーリーは、この巻では愛する者の死と哀しみへとシフトする一方で、今まで素通りして来たオカルト(超科学)にも若干針を振る。
もちろん主人公の残念美人櫻子さんは生物学に基づく骨格標本士という職業人ゆえに徹底したオカルト否定派ではあるが、その裏には愛する人を死によって喪いたくないという深い愛情が秘められていることを知らしめた。
著者の太田紫織氏は前に読んだ『ホームズは北海道で怪異を嗤う』でもそうであったし、このシリーズからも相当コナン・ドイル(というかシャーロック・ホームズ)に入れ込んでいることをうかがわせるが、19世紀の人であったドイルこそ熱心なオカルトマニアであり、オカルト研究家であったことを考えると、科学的思考をベースにしたこのシリーズでもまったくそっち系に触れない訳には行かないだろうと思っていた。なにしろ前述の『北海道でホームズは〜』の方は絶対が完全にオカルトベースだったのだから。
また前巻のエピソードの関係者が何人も顔を出し、著者がそのそれぞれのキャラクターに深い愛情を注いでいることが好ましい。さらに今後重要なパートナーとなるであろう新たなキャラクターも加わり、これからの更なる展開が期待される。
また櫻子さんのお屋敷は、当麻在住(出張)中に頻繁に図書館とゲオに通っていた、当麻からは車で10分ほどであり、仕事場にも来てくれたブロ友のオカリナ吹きゆらさんもお住まいの永山地区(それこそ永山図書館のすぐ近く)という設定がなんだか嬉しい😊