鬼滅考② 禰豆子 | われは河の子

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 今日は「鬼滅の刃」のヒロイン。鬼娘、竈門禰󠄀豆子(かまどねずこ)について考察してみたいと思います。

 1.鬼退治の系譜

 まず禰󠄀豆子個人の前に、鬼殺隊はなぜ少年少女たちなのかを考えます。
 
 古来大和朝廷が取った鬼退治の手法は、中国中原に栄えた各王朝の『夷を以って夷を御する』という方法に倣っています。異民族で異民族を攻めるということで、とりもなおさず鬼をやっつけるのには鬼を当てることになります。

 鬼狩りの少年少女たちは童子であります。お館様の産屋敷は彼らのことを『子供たち』と呼びます。が、同時に仏教において童子とは仏法を守護する天部と呼ばれる諸神を表しますが、それらはかつて夜叉や修羅と呼ばれた人を喰う悪神、すなわち鬼に他なりませんでした。
 丹後大江山に巣食う鬼が酒呑童子という名で呼ばれ、その配下に茨木童子がいたことでも童子が鬼と同義であることがわかります。
 更に鬼たる童子は人外の物、人ならぬ者である必要があります。
 桃太郎は人から生まれた者ではなく、少年のまま鬼ヶ島に赴きます。
 一寸法師もわずか3センチの身長しかない人外の存在です。(ちなみに桃の中に入って川を流れて来た桃太郎も、お椀の舟に乗って川から京を目指して流れて来た一寸法師も、共に川の童子すなわち河童です)
 鬼のままの童子である禰󠄀豆子や、山で猪に育てられ、猪の顔を持つ伊之助は恰好の鬼狩りの資格保持者といえます。

 そして禰󠄀豆子の名前の禰󠄀という漢字は、霊力や穢れを人の代りに降ろす依代(よりしろ)や形代(かたしろ)を表します。禰󠄀豆子という名前は豆の霊力を宿した子という意味になり、豆こそは節分で鬼を祓う呪物です。

 さらに禰󠄀豆子の着物の柄である麻の葉模様も帯の柄の市松模様も、邪気を払う力があると考えられています。多角形の同じパターンの繰り返しは魔物の持つ目(邪視)がその繰り返しの中から脱出することができず、魔に発見されない性質を持つことは洋の東西を問わず信じられて来ました。正三角形を上下逆に組み合わせた籠目紋(ユダヤにおけるダビデの星)も同様です。
 自在に身体の大きさを変えられる禰󠄀豆子を入れるために鱗滝が箱を作る前には、炭治郎は鬼に襲われた妹を竹で編んだ籠に入れて担います。籠目でガードされた入れ物はまことに理にかなっていたということです。

 2. 竹の娘

 そして禰󠄀豆子のキャラクターを決定づける最大の要因である竹の口枷せ(かせ)
 人の手を借りることなしに中に密閉された空間を持つ竹や瓜や瓢箪は、その空間が異界、魔界と繋がっている物と考えられ、これらも邪気や魔物封じとして使われて来ました。河童や龍の害を避けるために、河中に瓢箪を投げ込むことが知られており、竹や瓜から生まれたかぐや姫や瓜子姫は異界からの使いでした。
 さらに竹の節を抜いて紐を通して密閉を破壊し異界との交通を遮断して口を封じることで、禰󠄀豆子が再び鬼に襲われることも封じたわけです。二重三重の防御システムが施されているといえます。

 竹の娘というモチーフは前述のかぐや姫に通じます。竹の中にいた時のわずか三寸余りの身体がどんどん成長して貴族から見染められるほどになったかぐや姫と、身体の大きさを自在に変えられる禰󠄀豆子とは共通項で結ばれますし、後に克服されますが、日光に身を焼かれ、月の光の元でしか活動できない禰󠄀豆子は、月世界の使者であるかぐや姫と被ります。
 「竹取物語」の最後で、月に帰ったかぐや姫は育ての親の竹取の翁に不死の薬を与えます。これを使わなかった翁が薬を焼いた煙が立ち上った山が不死の山=富士山です。
 鬼滅の刃ワールドにおいても薬は重大なキーワードになりますし、不死=藤の花が鬼を避けるアイテムの役割を与えられていることは興味深いですね。

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 昨夜の谷やんのコメ返にも書きましたが、以上はあくまでも私見であり、作者吾峠呼世晴さんの思惑ではないであろうことをお断りしておきます。勝手な考察にお付き合いいただきありがとうございます😊