リューボフィ・オルロワ号は、1976年に旧ユーゴスラビアで建造された4200tの客船です。
ロシアの会社がクルーズ船として所有していました。
ところが、2010年になり、その所有会社の債務不履行により、乗組員の給与が支払われなくなり、なんと乗員はカナダのニューファンドランド島セント・ジョンズ湾でこの船を遺棄してしまいます。
カナダ政府はこの船をドミニカ共和国に運んでスクラップ処理することにしましたが、曳航中に牽引ロープが切れてしまい、船は外洋を漂流することになります。
当局は一度はこの船を確保することに成功しますが、周囲の採掘施設などに影響がないことを確認後、曳航を諦め、再び漂流するに任せることにしました。
2013年1月に、リューボフィ・オルロワは、現代のメアリー・クレストになることを命ぜられたのです。
ただ、この船には、かつての係留中に船内で繁殖したネズミが共食いを繰り返しながら生き永らえていると考えられていました。
見つけた船の船員が不用意に乗船した場合や、陸地に漂着してネズミが逃げた場合など深刻な影響が出ることも考えられました。
カナダ沖から、けっして帰ることを許されない旅に出た船は、2月23日に大西洋をはさんだアイルランド沖、4000キロ地点で確認されたのを最後にその姿を見せていません。
沈んだのだろうという希望的意見が大勢を占めていますが…