新型コロナで引きこもりの生活が続いています。こんなに家で過ごすのも本当に珍しいこと。時間に任せてアルバムをめくっていると、我が家のアナザースカイである香港のことが懐かしく思い出されます。

1992年に夫が転勤になり、家族で英国領香港に引っ越して1997年の中国返還まで滞在しました。香港の夏は高温多湿な上にいつまでも秋が来なくてもうへとへとです。人口密度が高く、エネルギッシュで圧倒されました。子供達はインターの幼稚園やイギリス系の小学校、日本人小学校に通いました。私自身も英会話や広東語を習って必死でした。
そんな中、中華料理はとにかく美味しかった。家族はみな、雑然とした香港の街といっしょに広東料理が大好きになりました。私もお料理を習いに行き、肉や魚の買い方、調味料はどこのお店のが良いかなども教えてもらいました。そんな風に覚えた老上海飯店の豆板醤が他にない美味しさで、以来我が家の冷蔵庫には欠かせないものとなりました。(写真①②)

さて、帰国して何年かたって子供達の学校の区切りがついた2004年、家族四人で香港を訪れました。7年ぶりのセンチメンタルジャーニーです。かつて住んでいた、崖の上に立つピンクのマンションや学校、幼稚園、よく行ったレストラン、二階建てバスや路面電車。変わらないけれど、全体的にちょっとずつきれいになっています。5年以上も住んでいたのですから、みんなわくわくです。ところが、家族一人ひとりの興奮ポイントが違うのです。私は家の周りや市場など、当時の暮らしがよみがえって懐かしさでいっぱい。夫はやはり職場の記憶が強い。長男は学校や友達との思い出と特別好きだった飲茶。次男は6才まででしたから、実はそんなに覚えていなくて、香港の次に引っ越したシンガポールの思い出と混ざっています。わー懐かしいね、といいながら、その内容がそれぞれ違う。記憶や思いは一つじゃないのだと拍子抜けしました。でも、あの豆板醤を探しに行ったらちゃんと売っていて変わらない美味しさ!嬉しくて1ダースも買って帰りました。これだけは全員一致でした。(写真③④)

2018年に今度は友達と二人で香港に遊びに行きました。最初に行った時からは四半世紀以上もたっています。世界も日本も、そして香港も変わりました。街はリッチになっていて、若い香港人がお洒落な身なりで颯爽と歩いていました。古くて怪しい雑居ビルはもうどこにもないの?…でもそんな中でもあの豆板醤はありました。またもやたくさん買い込みました。写真⑤

結局、家族みんなが大好きで、今も変わらないのは、老上海飯店で調達する豆板醤です。今度行った人は忘れずに買ってきてね。

 

相談員H
 

 

          ①                                     ②

   

          ③                                      ④

 

         ⑤