ランク Bの上~Aの下
倦怠期の、成人映画の男優をする夫の妻が
高校時代の同窓会へ出席し、
元カレと出会って・・・。
(映画を観て下さい)
18禁の成人・ピンク映画ですが
普通の劇映画として、充分に
楽しむことができる秀作です。
(セックスシーンはそれなりに多いですが
現代のAVに比べたら
品があります)
コメディタッチの
大人向けのホームドラマ成人映画です。
実は、この映画の見どころの一つは
主人公の売れない俳優の夫が働く
成人映画製作現場のドタバタです。
ギャラ交渉、監督のコダワリ、
男優女優のセックスシーンの悪戦苦闘など
リアル?な現場を再現し
笑ってしまいます。
妻のよろめきと、
このドタバタ劇が、ラストシーンに
大きな比重を占めて、快い感動を
与えてくれます。
上手いシナリオです。
成人映画であることを
忘れさられてしまいますよ。
脚本は、フォークシンガー歌手もしていた
小林正弘です。
15歳の時、トリフォーの「大人は判ってくれない」に
衝撃を受けて、監督を志したとか・・・。
成人映画~文芸作品までの脚本、監督で
知る人ぞ知るという存在でした。
(世界の国際映画祭で、
いくつか受賞しています。
恥ずかしながら、私は全く知りませんでした。
映画専門チャンネルの特集番組放送で
初めて知りました・・・トホホ)
小林正弘と成人映画で
数多くのコンビを組んだが
この映画の監督サトウトシキです。
日活芸術学院卒業後、
成人映画・ピンク映画業界へ飛び込み
「ピンク映画の四天王」の
1人となります。
ピンク映画の四天王 サトウトシキ
佐藤寿保
瀬々敬久
佐野和宏
(私は、ピンク映画界をほとんど知らずに
いました。
考えてみれば、B級映画、成人ピンク映画も
立派な映画産業です。
根強いファンもがっちりいると思います。
消耗、使い捨て、ティッシュペーパーのような
日陰者?の成人映画界ですが、
忘れされれたり、見捨てられたりような
存在で置くのは間違っています。
私は、最近になって、
成人ピンク映画、エロ映画に
関心が強まりました。
成人ピンク映画界を見直すべき時期だと
思っています。
ただ、1965~2005年頃までの
本番なし映画です。
現代のAV本番あり作品には
ドラマ性が乏しくて
映画論を語るのは
難しい気がします・・・)
良い監督には、その監督独自の色、演出が
画面から伝わります。
サトウ監督は、クールな冷めた映像に
人間の泥臭さ、汗臭さが表現されていると
感じました。
(少ない予算、期間の撮影ですから
知恵と工夫が必要ですから・・・)
主人公の売れない成人映画男優を演じるのは
二枚目とは言い難いですが
抜群の存在感を発揮する川瀬陽太です。
自主映画の助監督をしていた時に
資金難から主演を命じられ
俳優になったという経歴です。
成人ピンク関係者との交流から
成人映画界で活躍しています。
この映画での、コミカルな演技は
出色ものです。
また、映画内の監督、助監督との
駆け引き、掛け合いは笑えます。
監督役と助監督役も
いい味を出していますぞ!
無表情なようで、
人間臭いのがいいのです。
なお、女優役の風間今日子が
スレた女優の生き様を
見事に演じています。
売れない男優の妻を演じるのは
佐々木ユメカです。
1972年、広島生まれです。
(結婚されて、お子様が2人いるようです?)
2000年頃から、成人映画のヒロインで
活躍され、最近は
「パラダイス・ロスト(2020)」に出演しています。
(私は観ていませんが・・・)
大きな瞳を武器に、
ちょっとミステリアスな女性の魅力を
発揮する女優さんです。
成人・ピンク映画の俳優さん達は、
ちょっと下に見られがちですが
安いギャラだと言って、
手を抜くことなく
本気で演技をしています。
表の劇映画、メジャーの俳優たちは
演技をしている自分に酔って、
演技者フリを全面に押し出してくるのですが
成人映画界の役者さん達は
生身の裸の演技をするので
むしろ、リアル感を
表現します。
はっきり言えば、メジャーの俳優より
成人映画界の俳優さん達の方が
演技が上手いと言えるかもしれません。
(もちろん、メッチャ下手な
アマチュアのような俳優さんもいますが・・・)
綺麗な上手い演技より、
泥臭いリアルな演技の方が
私は好きです)
最近、2000年前後の成人・ピンク映画を
観るようになった私です。
現在のメジャーな日本映画なんかより
2000年前後の成人映画の方か
格段に面白いです。
セックスシーンを混ぜながらも
人間の喜怒哀楽、欲望、悲喜劇を
自由に描いているのが
魅力です。
家族、妻と一緒に観ることはできませんが
密かに追っかけをしようと思っています。
(セックスシーンを、
妻と娘と一緒に観るのは
気恥ずかしくて、
耐えられません・・・トホホ、嗚呼)
「日本映画専門チャンネル」の深夜放送
「大人の桃色シネマ白書」で
観ました。
駄作と秀作が混交していますが
是非、観てみて下さい。
もちろん駄作も多いですが、
この映画のような2000年前後の作品には
秀作、観るべき作品があります。
昔、成人映画専門の雑誌があったように
記憶していますが、どうなんでしょうか?
(監督、俳優、作品が、生まれては消えていく
バブルな世界ですから
記録を残さないといけないと
思います)
ズバリ、メジャーのくだらない作品に比べたら
面白いのが成人映画ですよ。
この映画は、成人映画の秀作、名作の1つです。
ラストの夫婦の会話のシーンが
良いんだよなあ・・・・。
ご覧あれ!!