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マレーシア・クアラルンプールのスラムで

 ストリートチルドレンとして育った

   2人の中国系不法移民の青年の

     哀しみに彩られた社会派ドラマです。

 

中国題名「富都青年」です。

 

 

心に突き刺さる名作です。

 

社会に見捨てられた若者の慟哭に、

  力の無さを思い知らされる映画です。

 

必ず、観て下さい!

 

あまり書くと、ネタバレとなり、

  この映画の魅力を失わせるので

     多くは語れません。

 

マレーシア映画の最高傑作に

  数えられるのは、間違いないです。

 

不法移民は、身分証(IDカード)がないと

  見つかれば、強制送還になります。

 

スラムで育った二人の、

  一人は、聴覚障碍者ながら真面目に働き

    もう一人は、犯罪に手を染めながら

       最底辺の共同暮らしをしています。

 

この二人がどうやって知り合ったかは

  映画を見て下さい!

 

オープニングは、人間が食べて生きる本質、

  現実を、観る者に、直截に訴えてきます。

 

人間が生きるとは、他の生命を殺して

  生きているといことです。

 

  (血が苦手な方は、注意して下さい。

 

  しかし、この現実を見ない、

   知ろうとしないのは、

     人間のエゴそのものです)

 

クアラルンプールのスラムを舞台に

  物語は展開していきます。

 

マレーシアが抱えている格差社会を

  底辺から描いています。

 

  (クアラルンプールには、何年か前に、

     観光で行ったことがありますが

        スラムを見ることは無かったです。

 

   眩い華やかなクアラルンプールを

      観ただけでした。)

 

ストーリーは、書けません!

 

映画を見て下さい!

 

騙されたと思って、

  映画を見て下さい!

 

最初は、戸惑いと、悠長さを感じる

  かもしれませんが、

    後半から一気に、

      主人公達への感情移入が高まり

        物語へ没入させられます。

 

あっと驚く、

  どんでん返しもあります。

 

そして、人間の哀しみ、生きる弱さと強さを

  教えられます。

 

人生とは何のだろうか?

 

生きる意味とは、何だろうか?

 

涙ぐみながら、この映画を観終わるはずです。

 

切ない恋、越えられない愛を

  描いています。

 

   (単純な恋愛ではありません)

 

猥雑なスラム、不衛生な市場の裏方などを

  リアルなシャープな映像で、

    映し出します。

 

遠景には、華やかなクアラルンプールの

  高層建築群が別世界のように

    映し出されます。

 

監督・脚本は、ジン・オン(王禮霖)です。

 

 

48歳の中国系?マレーシア人監督です。

 

 (映画を観た私の妄想ですが

   監督は、LBGT系の方だと思います。)

 

この映画は、台湾で公開され、

  金馬賞7部門にノミネートされます。

 

  金馬賞は、台湾主催の中国語映画の映画賞です。

 

台湾、香港、マレーシアで大ヒットします。

 

俳優陣の演技が素晴らしいこと!

 

この映画は、クアラルンプールが舞台ですが

 台湾俳優陣を起用しています。

 

聴覚障碍者アバンを演じるのは、

      ウーカンレン・呉康仁です。

 

 

台湾のイケメン人気俳優なのですが

  まったくその面影は無く

     不法移民青年になり切り

       手話と表情、体表現だけで

         哀しみと絶望感と

            ささやかな希望と夢を

               演じ切っています。

 

 この演技で、金馬賞主演男優賞を受賞します。

 

 観客、特に、女性の心を鷲掴みにしたはずです。

 

もう一人の青年・アディを演じたのは

  ジャックタン(陳哲耀)です。

 

 

粗暴な中に、優しさと弱さを持つ青年を

  見事に演じています。

 

前半と後半では、別人のように

 変貌し、魅力いっぱいの

  高い演技をします。

 

  (この映画の監督作品

     「ミス・アンディ」にも出演しています。

 

     私は観ていませんが・・・)

 

そして、三人目の主役と言っていいような

 タン・キム・ワンです。

 

 二人の青年を、幼い頃から

  親代わりで面倒見ている役です。

 

 科白は多くないけれど、

   ドラマ進行とともに、

     どんどん存在感が増して来ます。

 

  この映画の影の主役です。

 

    (監督の分身かもしれません)

 

挿入される楽曲の作曲は

  日本人?の片山亮太です。

 

 どういう来歴で、この映画に参加したのか

   知りませんが、素敵な音楽を奏でています。

 

 YouTubeで「富都青年」で聴くことができますよ。

 

書きたいことは、ありますが

 映画のネタバレになるので、

   止めておきます・・・トホホ、嗚呼。

 

ネットフリックスで、映画を見て下さい!

 

必ず、映画を見て下さい!

 

損はありません!

 

マレーシアと台湾の共同映画とも言えます。

 

マレーシアの中国系移民を

  切なく映画名作、傑作です。

 

アジア映画界には、

  スラム住人、不法移民を主人公にした

    素晴らしい映画が幾つかあります。

 

しかるに、日本の映画ドラマ界には

  まったくないと言っていいようです。

 

  (クルド移民映画「スモールランド」は

     良かったです)

 

演出、俳優、映像、音楽と

  素晴らしい映画です。

 

社会問題を正面から扱った

  骨太の社会派、ラブストーリーです。

 

是非、ご覧下さい!

 

最後に、観た人用の記事を書くかもしれません。