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1945年8月8日にソ連が満洲へ侵攻し

 9月上旬に終結?するまでを

   国際政治的背景や日本政府と軍の対応、

     それらに翻弄された一般日本人の悲劇を

        コンパクトにまとめた本です。

 

  副題は「帝国日本最後の戦い」です。

 

 

日ソ戦争の教科書、入門書に適した本です。

 

細かい戦闘、戦史を描くのではなく

 大局的、戦略的な見地から日ソ戦争を

   俯瞰した本です。

 

ゆえに、スターリン、ルーズベルト、トルーマン、

 チャーチルなどの、対日戦争と日本占領に関する

   駆け引きを、どちらかというと、

     中心に描かれています。

 

もちろん、満洲移民団の悲劇の描写には

  著者の怒り?が込められています。

 

スターリンのような指導者たちには

  国民の苦難、苦痛などは、

    考慮すべき事柄でない事を

       この本は教えてくれます。

 

国家が、政治力学で動くことを教えてくれる本です。

 

日本が、過去も現在も、外交音痴なのは

  伝統芸なのかも知れません。

 

一言で言うなら、現実を見たくないばかりに

  独りよがりの手前勝手な世界観で

    外交をするという悲劇です。

 

ズバリ言うなら、人を見る目がないのが

  日本の指導者と言えるでしょう。

 

  (トランプに尻尾を振り、

    プーチンを友達だと勘違いし、

      習近平にへりくだっていたのが

        安倍元総理だったなあ・・・

 

   まあ、岸田自公政権も同じですが・・・)

 

日ソ戦争のあり様を決めたのは、

  日本ではなく、スターリン・ソ連と

    アメリカ大統領であったことが

      この本でよく分かります。

 

民主的な政治体制のアメリカ大統領に比べ

  暗殺、粛清などの政治闘争で生き残った

    スターリンの方が、一枚も上手だったことが

      この本で分かります。

 

もちろん、アメリカも、スターリンの狡猾さに気き、

  対策を取るのですが、一歩遅れました。

 

  (原爆を完成させた驕りもあったようです)

 

その象徴が、この本で、初めて知ったのですが

  千島列島の米ソの戦略でした。

 

千島列島の一部を、アメリカが占領できた

  可能性があったことです。

 

アメリカは、日本本土占領に集中しすぎて

 朝鮮半島と千島列島を、軽く見てしまったのです。

 

太平洋戦争中、アメリカは、本土爆撃に

  千島列島を活用しようとしましたが

    ソ連に遠慮?して、進駐しませんでした。

 

戦争中、及び日本敗戦後、

  千島列島にアメリカ軍が

     強引に上陸できるチャンスはありました。

 

結果的には、スターリンに千島列島をあげる代わりに

  北海道分割統治を、ソ連に諦めさせました。

 

 (スターリンは、オホーツク海を

    ソ連の内海にできました。

 

   今も続いていますが・・・トホホ、嗚呼)

 

千島列島の一つの島でも、

 アメリカが占領していればと

  この本を読んで、歯軋りしました。

 

ソ連軍は、満洲で傍若無人な振る舞いをします。

 

ウクライナと同じで。

 

まあ、戦争中、戦闘中の占領地を

  好き勝手にするのは、いつの時代、

    どこの国でも同じです。

 

  (その点、日本のアメリカ進駐軍は

    「まし」だったかもしれません・・・トホホ)

 

満洲国にいた日本の関東軍が、ほとんど

  戦わずして、日本国民を守らずして

    武装解除となりました。

 

 (一番最初に逃げたのは、

    日本軍の身内家族でした・・・トホホ、嗚呼)

 

武器弾薬兵員を、南方戦線へ送り出して

  まともな軍隊ではなかったようですが

    ここにも日本人らしさで

      ソ連に好き勝手をされました。

 

日本人は真面目ですから、

    命令を忠実に実行します。

 

武装解除命令を素直に実行します。

 

相手が悪かったです。

 

ソ連は、大義名分を守る民族とは

  言い難いです。

 

この本を読めば、よく分かります。

 

アメリカ軍は、太平洋の島々で

 日本軍と戦って、日本兵士の頑強さを

   知り尽くしていました。

 

ゆえに、アメリカは、日本本土占領作戦に

  最大の懸念を持っていました。

 

  (ゆえに、原爆を使いました)

 

しかるに、ソ連兵は、独ソ戦で戦ってはいましたが

  日本兵の強さを知りませんでした。

 

そのため、一部で起きた、日ソ両軍の戦いでは

  ソ連軍は痛手を受けます。

 

  (軍事力の差は圧倒的にソ連軍が上ですので

    日本軍は玉砕するとは思うのですが・・・)

 

ソ連に勝てないことを知っていたのは

 日本軍上層部でしたから

    素直に武装解除したのでしょう。

 

  

 (でも、負け戦でも、戦ってほしかった・・・

    というのは、無理な注文のようです・・・嗚呼)

 

スターリンのソ連には、戦勝後の対日、対米政策を

  いつも眼中にありました。

 

しかるに日本には、敗戦後の日本国家のあり様を

  考えてもいなかった。

 

「国体護持」だけを金科玉条とし、

  敗戦後の国際社会における日本国家像なんか

    まったく考えていなかったのが

       日本の指導者たちでした。

 

ゆえに、満洲移民団や千島列島のことなんか

     まったく眼中になかったのです。

 

 (まあ、敗戦国に、何の権利もないのですが・・・)

 

この本は、実に読み易く、

  日ソ戦争と戦後処理に関する

   日、米、ソの賭け引きの歴史が

     よく分かります。

 

新書らしい、入門書に最適の本です。

 

この本をきっかけに、さらなる

  歴史の面白さと深みにはまるでしょう。

 

是非、一度は読んで下さい。

 

この本を読めば、北方領土返還が

  不可能なことが分かると思います。

 

まして、ウクライナに侵略したプーチンが

  絶対に、千島列島返還をしないことが

   理解できるはずです。

 

  (プーチン曰く

     「武力で、血を流して、

       千島を取り返しに来い!」

 

   あっ、竹島もそうかもしれません。

 

   それと、尖閣列島も、

     血を流す覚悟で守らないと

       習近平中国に奪われる気がします。

 

   だからと言って、私は、戦争を望んでいませんし

     外交で守るべきだと思っています。

 

   ミリオタで、各種の戦争本を読み漁っている

     私は、戦争反対です。

 

   読めば読むほど、戦争に未来はあいません)

 

プロシアの軍人・クラウゼヴィッツの言葉に

 

  「戦争は、外交の一つの手段である」

 

この本は、この言葉を意味を

       教えてくれる本です。

 

是非、一度、お読み下さい。