ランク  Bの上

 

国鉄(JR)に勤める平凡な中年サラリーマンが

 家出してきた姪を世話する内に

  仄かに心をときめかすという

    ホームドラマです。

 

目白三平シリーズ4作目の

    笠智衆主演映画です。

 

 

目白三平シリーズ映画があることを

   初めて知りました。

 

脇役専門の笠智衆が

  主演を演じているのにも驚きました。

 

うだつが上がらない、出世に遅れた

  中年サラリーマンの悲哀を描いた

    小品です。

 

空気とかした夫婦関係の隙間を

 田舎から家出してきた美人な姪に

  振り回されながらも、

    仄かに心をときめかせる中年男を、

      飄々と演じている笠智衆の

         真骨頂の映画です。

 

大きな事件もなく、サラリーマン一家の

  日常を丹念に描き、時代風俗を

    織り交ぜて描いています。

 

原作は、国鉄(JR)に務めながら

 小説を書いていた中村武志の小説です。

 

自分の身の回りで起きる小さな出来事を

 少し皮肉を込めて描いているところが

   この作品の魅力です。

 

笠智衆に目が行きますが

 この映画を大きく支えているのは

   妻役の望月優子です。

 

 

戦前から舞台で活躍し、

  庶民の母親役をすれば、

    日本一二のいぶし銀の演技をします。

 

さり気ない中に、上手い演技が光っています。

 

  (女優だけでなく、国会議員で活躍もします

 

  俳優・加藤嘉は、妹の夫で、義弟になります)

 

笠智衆とのコンビが、

    この映画の魅力です。

 

まさしく、美男美女でないという

  庶民を描き、現実の世相を切り取った

    映画です。

 

この映画以降、東宝映画のヒロインで活躍する

  浜美枝、団令子、水野久美の

    若さ溢れる姿も魅力です。

 

 

浜美枝は、日本人離れした西洋的な美人で

  007ボンドガールを演じますが

   生粋の江戸っ子日本人です。

 

監督は、鈴木英夫です。

 

 

俳優を泣くまでしごいたという厳しい監督で有名で

  好き嫌いが激しかったそうです。

 

   (「小黒澤」と言われたそうです)

 

監督としては、得意なスリラー、サスペンス映画を

  撮影できず、不本意な作品作りを強いれたという

     監督生活だったようです。

 

ただ、カルト的な再評価が高まっているそうです。  

 

この映画は、B級的ではありますが

  演技力ある役者を揃え、

    手堅く仕上げた職人技の映画です。

 

後の、テレビホームドラマの原型のような

  映画です。

 

毒もなく、喜怒哀楽は、さざ波程度ですが

  庶民に寄り添った心温まる作品です。

 

浮気もできず、もてない中年男の悲哀と

  家族愛を描いた秀作です。

 

日本映画チャンネル「蔵出し名画座」で観ました。

 

チャンスがあれば、是非ご覧下さい。

 

昭和の日本映画界のすそ野の広さを

  教えられる映画です。