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GHQ(連合軍最高司令部・マッカーサー司令官)

 占領下の昭和24年(1949)の日本で、

   下山貞則・国鉄(JR)総裁が、

      列車轢断死体で発見される。

 

自殺か?他殺か?で、捜査は分裂するが

  GHQの圧力?で捜査本部は解散し、

    事件は迷宮入りとなる。

 

1964年(昭和39年)、時効が成立。

 

 

予算、人事等を自民党政権に握られて、

 客観報道やジャーナリズム精神を失いつつある

  NHKにとって、歴的的事件を取り上げることで

   政権批判?が可能な番組制作しているのが

     未解決事件シリーズです。

 

下山事件1949年7月6日の背景には、

 

 * 1949年10月の中国共産党が成立する

    直前で、アメリカは共産党勢力拡大を

      怖れ、米ソ対立冷戦が始まっていた。

 

 * 1950年6月の朝鮮戦争の直前で

     38度線を挟んだ緊張が高まっていた。

 

 * GHQは日本の「民主化」政策から

     「反共の砦」として政策転換をする。

 

 * GHQは、対共産圏戦争に備えるために

    高インフレの日本経済を、緊縮財政政策で

      立て直すように日本政府に迫る

 

     (公務員28万人の大削減を要求)

 

 * 共産党系労働組合運動が激しかった

     国鉄職員(公務員)10万人の首切りを迫る

          

 * 首切り団体交渉の経営代表の下山総裁が

     轢断死体となる前日に、

       国鉄組合に約3万人の解雇通告をする

 

つまり、将来の米ソ戦争に備えて、

   日本からソ連共産党の影響力を排除し、

      親米反共国家としての日本へ

         強引に推し進めた。

 

  (このアメリカの方針が、今も続いています。

 

    ソ連共産党から、ロシア、中国、北朝鮮に

      変わっただけです・・・嗚呼)

 

共産党系労働組合の大組織・国鉄労働組合を

    いかに潰すか?

 

労働組合を悪役に仕立て上げ、

  民主化に目覚めた?日本国民から

    離反させる方法を取ります。

 

* 下山事件では、下山総裁が

    労働組合との厳しい団体交渉で

      疲労困憊、追い詰められて、自殺した。

 

       国鉄労働組合が自殺させた

 

* ドラマでは少し触れられていますが

   7月6日の下山事件後に

   7月16日三鷹事件(無人列車暴走、未解決)

   8月17日松川事件(列車妨害転覆、

                 国鉄職員が冤罪に)

 

  この3つの事件を「国鉄3大ミステリー事件」

 

   三鷹、松川事件は、

     国鉄の反社会的労働組合の活動だとして

       労働組合を悪者に仕立てあげる

 

1945年の敗戦後、4年目の出来事です。

 

経済復興がままならず、明日の食糧を求める

  貧しい国民が日本に溢れていました。

 

死が身近だった戦争の傷跡が、日本国民の心にも

  深く刻まれ、戦地帰りの荒くれ?が

     多くいた。

 

  (焼け跡の日本には、戦地帰りの男に

    まともな仕事はなく、無職者があふれていた)

 

自由だったけれど、帝銀事件、光クラブ事件など

  日本社会のモラルは低くなっていた

 

つまり、金のためなら、殺人も厭わない

  元兵士がたくさんいた。

 

下川j事件へ戻ります。

 

GHQ内の、反共情報機関の長・ウイロビーは、

  日本の共産化を怖れて、

    特高警察を、公安警察として、復活させ、

      右翼の大物・児玉誉士夫とは

         親密になる。

 

 

  (東京裁判では、第1次A級戦犯28名以外の、

      第2、第3次A級戦犯を釈放するのに辣腕。

 

    岸信介、児玉誉士夫、笹川良一などが

      不起訴で釈放される。

 

     ロッキード事件では、児玉誉士夫との

        密接な関係が再び浮き上がります)

 

マッカーサーの右腕の

  ウイロビーは、ガチガチの反共主義者でした。

 

ウイロビーの下で汚れ役の仕事をしたのが

    キャノンでした。

 

 

キャノンは、本郷の旧岩崎邸に

  秘密情報本部を設置し、

    日本の共産化を防ぎ

       反共化するための

         あらゆる秘密活動をします。

 

 (キャノンは、1981年、脳腫瘍の宣告後、

   自宅で2発銃弾を撃ち込まれ、死にます。

 

     自殺、他殺か不明とか・・・)   

 

 

「国鉄3大ミステリー事件」は、

  キャノン機関の仕業だと言われています。

 

キャノン機関は26名で組織し、その下では

  戦犯免除を引き換えに活動協力させる元日本兵や

     陸軍中野学校関係者を採用し

       悪事?を秘密裏に実行した。

 

  (朝鮮戦争の危機が迫っていたので

       荒っぽい実行となったようです)

 

このドラマとドキュメンタリーでは

  下谷山事件を捜査する警視庁刑事と

    検事、新聞記者、キャノン、児玉誉士夫、

      作家・松本清張が登場し

         事件の核心へ迫っていきます。

 

下山総裁が、自殺か、他殺かで、紛糾します。

 

  1 生きたまま、列車に轢かれたか?(自殺説)

 

  2 殺された後、列車に轢かれたか?(他殺説)

 

このドラマ、ドキュメンタリーを観れば、

   どちらが正しいかは、自ずと結論が分かります。

 

 * 轢断死体になる前日

 

  ・ 公用車で自宅を出た後、三越デパートに寄り

     消息をたって、行方不明となる。

 

    (9時から重要な局長会議があったが欠席)

 

  ・下山総裁らしき人物が、多数目撃される。

 

    (国鉄総裁は、優待パスを持っているはずなのに、

      切符を買って、列車に乗っている。

 

     ヘビースモーカーの下山総裁が

      休憩した旅館で、タバコを1本も吸っていない)

 

      ・下山総裁の目撃証言が、当人と一致していないし、

     不自然なほど目立つ行動をしている。

 

     (自殺者の行動ではない・・・他殺説)

 

  ・ 轢断死体には、血液がほとんど無かった。

 

      (雨で流れてしまった・・・自殺説)

 

  ・ 自殺現場の列車通過の反対方向に、

      数百メートルにわたって、

         血痕反応が続いている。

 

     (下山総裁を引きずって、

        自殺現場まで運んだ・・・他殺説)

 

  ・ 死体に生体反応がない(死後轢断)・・・他殺説

 

  ・ 損傷が激しいのと、雨により、死後轢断とは

     断定できない・・・自殺説

 

捜査本部は、真っ二つに分かれる。

 

   警視庁第1課  自殺説

 

   警視庁第2課  他殺説 

 

捜査1課が自殺説で発表しようとしたら

   GHQにより公表中止に。

 

捜査2課が捜査を継続するが、

  捜査一課は、強引に

   1949年(昭和24年) 12月31日 捜査本部解散

 

       迷宮事件となる。

 

   1950年(昭和25年) 4月、

    捜査2課の刑事全員が、各地の警察署へ移動

 

    捜査2課の独自捜査は完全に不可能になる。

 

    (1課と2課の、縄張り、権力争いも絡む?)

 

  

 

警視庁が実質上、捜査中止になった後、

 このドラマの主役の検事と新聞記者が、

   事件の核心へ迫っていきます。

 

検事の捜査をかく乱するために、

 偽情報を流す工作員が登場したり、

   GHQの露骨な圧力があったりする中

     時効まで、秘密捜査を続けます。

 

事件の背景は複雑で、たくさんの登場人物が絡み

  闇が深いので、ドラマを観て下さい。

 

アメリカGHQの占領下の日本です。

 

GHQは、神に等しい存在で、

  日本政府と国民は、逆らうことはできません。

 

GHQの犯罪を暴くことは、不可能な時代でした。

 

このドラマの主張したいことの一つは

  「日本は、独立国か?」

    と言うことです。

 

下山事件当時から、現在に至るまで

  「アメリカの植民地」「アメリカの属国」なのが

    日本という国そのものではないか?

       と、登場人物たちに言わせるのです。

 

主人公の検事は、後に、ロッキード事件で

  田中角栄総理大臣を逮捕します。

 

 

このロッキード事件も、下山事件のように

  アメリカが仕組んだものでは無いかと

     ドラマで、仄めかしています。

 

  (田中角栄が、アメリカを無視?して

     日中接近を推し進めたのを

        止めさせるために

           田中の犯罪を演出したと・・・

 

  田中角栄の部隊は、ノモンハン紛争で

    全滅します。

 

  田中は、抜群の才覚で部隊のやりくりを 

    していたので、部隊長が、田中を重用し

      戦地へ行かせませんでした。

 

  田中は、中国で日本軍が何をしていたかを

    よく知っていました。

 

  多くの戦友が中国で戦死したことに

     心を痛めていました。

 

  ゆえに、日中友好の大切さを思い、

    独自に推し進め、アメリカの反感を買い、

      総理の座から引きずり降ろされた・・・)

 

このドラマを観て、

  NHKのドラマ製作者たちは、

     「日本は独立国ではない」

        と主張していると思いました。

 

アメリカの占領政策が

  日米安保、日米地位協定などで

     敗戦から現在まで続いていると

       ドラマ製作者は言っています。

 

  (吉田茂、岸、安倍、岸田総理等の

     自民党政権は、アメリカの言いなり外交を

       続けています・・・トホホ、嗚呼

 

  真の独立国日本を主張する右翼なら

    アメリカ追随政治を拒否しないといけない。

 

  といことは、極左と同じ主張になるのが

    歴史の皮肉です・・・嗚呼)

 

つまり、NHKは、このドラマで

  自民党政権批判をしていると、

     思いました。

 

ニュース、ドキュメンタリでは、

 できないこと、言えないことを、

   ドラマの登場人物に言わせているのです。

 

    (私の深読みしすぎかもしれませんが・・・)

 

NHKにしか、制作できないドラマです。

 

謎解き、サスペンスで

       ドラマは進行します。

 

観ている内に、引き摺り込まれていきます。

 

タップリお金をかけ、時代考証を頑張り

  ロケをふんだんに行って制作しています。

 

いい演出をしているのですが

  絶叫調や、目を剥く演技があるのは

    いただけません。

 

昭和20年代の日本人は

  喚き散らかすことは少なかったはずです。

 

セミドキュメンタリドラマには

  大袈裟な演技はいりません。

 

静かに演じる方が

  歴史の闇を表現できたと思います。

 

検事役を演じた森山 未來の演技に

     好感が持てました。

 

いいドラマです。

 

是非ご覧ください。

 

関連のドキュメンタリも

  是非ご覧下さい。

 

ドラマは、下山事件、ロッキード事件を

  追求した布施検事の記録を

    元にしています。

 

最後に、なぜ、下山国鉄総裁を

  GHQは、殺したのか?

 

ドラマを観て欲しいのですが、

  NHKは、このドラマに、

    もう一つ、大きなメッセージが

       込められています。

 

台湾有事が声高に言われている今、

  戦争をするために、

     国民に何を強制するかです。

 

下山総裁を殺したのは

  朝鮮戦争のためでした。

 

朝鮮戦争をするには、

  下山総裁が邪魔だったのです。

 

  (というのが、このドラマの

     主張です。)

 

なお、邪魔な理由は、

    ドラマを観て下さい。

 

  (この理由を知っていたが、

     家族を守るために

       沈黙した記者役が

          一番、良い演技をしていました)

 

つまり、このドラマの制作者は

  憲法改正、緊急事態条項の

    恐ろしさを、暗に主張しているのです。

 

戦争になったら、戦地にならなくても

  国家総動員となり

    個人の自由、尊厳も

      すべて失われてしまうと言うことです。

 

    (私の深読みかなあ・・・嗚呼)

 

あっちこっと飛んだ記事になりましたが

  是非、ご覧ください。

 

面白くて、良いドラマです。

 

NHKの未解決事件シリーズは

  いいドラマです。

 

NHKスタッフは、このドラマで

  ジャーナリズム精神を

    発揮しているようです。

 

  (NHKニュース報道は、忖度ありの

     事なかれ主義の、長いものに巻かれろ主義の

       触らぬ神に祟りなしの、大本営発表報道に

         なっているからなあ・・・トホホ、嗚呼)