ランク Bの上

 

1943年、イギリスは死体を使って、

 ナチスドイツを騙し、ギリシャ侵攻を

  信じ込ませて、シチリア島上陸作戦成功を

    成し遂げた秘密作戦の実話映画化です。

 

題名の「ミンスミート」は「ミンチ肉」のことです。

 

 

1943年、北アフリカで連合軍とドイツ軍は

 最後の死闘を繰り広げていました。

 

ドイツ軍が占領しているシチリア島を

  確保すれば、地中海を支配できます。

 

ゆえに、シチリア島上陸作戦を計画するのですが

  何もしなければ、強力なドイツ軍の抵抗で

     失敗するかもしれません。

 

そこで、死体に偽情報を持たせて

  ドイツ軍に知らしめ、欺く秘密作戦

    「ミンスミート」作戦を立案、実行します。

 

作戦の計画、経過、実行が

 どのように為されたかは

  映画を観て下さい。

 

ここまで、ドイツの情報機関や関係者の

  人間性や人間関係、行動を分析し、

     緻密な計算、計画していたことに

        驚かされます。

 

この映画の魅力は

  「ミンスミート作戦」の大胆にして

    繊細な作戦の妙です。

 

ずばり、「007」に象徴される

  スパイ映画が特異なイギリス映画の

    真骨頂な映画です。

 

しかし、この映画で残念だったのは、

  作戦だけを描けば良かったのに

    ラブストーリーを絡めてしまったことです。

 

2つの物語を入れたために

 映画の焦点、テーマが

  ぼやけてしまったことです。

 

戦争物は、戦争そのものを

  しっかりと描かないと、失敗することが

    多いです。

 

戦争物にラブストーリーは付き物ですが

  失敗作が多いです。

 

  (唯一と言っていいくらい成功したと

    思いつくのは

     韓国映画「ブラザーフッド」です)

 

純粋に「ミンスミート」作戦だけを

 描けばよかったのにと思いました。

 

この映画で一番面白かったのは

  死体がスペインに漂着してからでした。

 

このエピソードをもっと

  クローズアップして映像化していれば

     もっと面白くなったと思います。

 

  (案外、サラッと描いていたので

     もったいなかったです)

 

特に、スペイン在中の英国軍人を演じた

 ニコラス・ロウが、ユーモアを醸し出しながら

  とても良い演技をして

     強く印象に残りました。

 

イギリスジョークそのものでした。

 

 

丁寧に作戦プロセスを描いているのが

  この映画の魅力です。

 

  (ラブストーリーは

     いらなかったと思います)

 

是非、ご覧ください。

 

スパイ作戦の緻密さが

     よく分かる映画です。

 

 

実際の作戦では、映画描かれた以上に

  書類などの偽装工作が為されています。

 

ドイツ側も可能な限り、架空の死体の少佐の存在を

 調べますが、結局、騙されてしまいます。

 

 (重要書類鞄と死体を繋ぐ

   チェーンを付けるのですが

    イギリス軍はチェーンを使いません。

 

  ドイツ軍は、このイギリス軍の習慣を

    知らないだろうと予想していましたが

      ひょっとしたらバレるのではないかと

        懸念していました。

 

  ドイツ軍は、気に掛けず、偽情報を

    ベルリンへ送ります)

 

ムッソリーニは、シチリア島上陸を訴えますが

  ヒトラーは、偽情報のギリシャ侵攻を信じて

    軍隊をギリシャへ派遣します。

 

連合軍のシチリア上陸作戦は大成功します。

 

  (独ソ戦のクルクス作戦に派遣するはずの

     精鋭部隊の一部をギリシャに派遣したため

        ドイツ軍は、クルクス戦で挫折、敗北します)

 

この「ミントミール作戦」で騙された

 ヒトラーとドイツ軍は、その後、

  ノルマンディー上陸作戦や

   マーケットプレイス作戦で

   得た正確な連合軍情報を、

    偽情報だと思い込み

    生かすことができずに、

      負け込んでいきます。

 

架空のマーティン少佐の死体となったのは

 グリンドン・マイケルというアルコール中毒の男で

   理由は分かりませんが、

     殺鼠剤を飲んで死にました。

 

作戦に使われた偽の身分証です

 

 

作戦に使用した偽恋人パムの写真です。

 

映画のようにイギリス情報機関MI15の

  事務職員の写真を使いました。

 

 

偽マーティン少佐の死体を運んだ潜水艦です。

 

艦長は、死体カプセルから死体を海に流す時、

  士官だけに作戦を打ち明け、讃美歌を歌って

    彼らだけで、死体を海に流しました。

 

 

偽マーティン死体の検視をしたスパイン人の

  病理学者は、首にかけた十字架や

    財布に入っていた聖人の肖像から

      ローマカトリック信者と思い

        詳しい解剖をしませんでした。

 

  (偽マーティン少佐の死因や経過時間を

     胡麻化していたので、バレるのが

       免れました。

 

   そもそも死体を偽装したイギリス病理学者は

    スペインに優秀な病理学者はいないから

      死因はばれないだろうと言っていたとか)

 

ドイツが書類を開封したことを確認した時、

  米国にいたチャーチルへ打たれた電報には

    「ミンスミート(ミンチ肉)は丸呑みされた」

 

イギリス情報機関の高度な実力が分かる映画です。

 

しかるに、日本は、まったく

  情けないほど、情報音痴の無能でした。

 

1944年に、「海軍乙事件」がありました。

 

  (ちなみに「海軍甲事件」は、山本五十六

     撃墜戦死事件です)

 

乙事件は、遭難した海軍将官が

  フィリピンゲリラの捕虜となり

     作戦計画、暗号などの

        機密書類を奪われます。

 

将官たちは、自決も、書類隠滅、焼却も

  しませんでした。

 

  (川に投げ込んだが、ゲリラに回収されたと

    言われていますが・・・)

 

ゲリラ側は、日本軍へ将官たちを返し、

  書類はアメリカ軍へ渡します。

 

日本海軍は、重要書類が行方不明になったのに

  何もせず、その後の作戦が筒抜けになりました。

    

盗まれた将官は、

  ゲリラなので捕虜になったのではない、

    書類は紛失(川に投げた?)しただけで

      奪われていないとして、

       責任を問われず、

        軍務を終戦まで続けます。

 

リスク管理がまったくできなかった

   日本海軍でした・・・トホホ、嗚呼。

 

日本人は、島国育ちななために

   情報戦が苦手な民族性を

     今も持ち続けているようです・・・トホホ。

 

  (イギリスは島国ですが

     ヨーロッパ諸国は、すぐ目の前です)

 

スパイ天国日本として

  生きていくしかないようです。

 

そのほうが、案外、国民は

    幸せに暮らせるかもしれません。

 

秘密国家は、中国、ロシアを見れば

  悲惨ですから・・・嗚呼

 

ネットフリックスで観ました。