ランク Bの上~Bの中

 

末期の肺ガンと言われた殺し屋が

 ちょっとしたきっかけから、

   別な極悪犯を殺しに向かうことになるが

     予想外の出来事に巻き込まれ

        人生の終着点を見詰めてしまう

           アクションサスペンス映画です。

 

と、書いてはみたものの、

  一筋縄でいかない盛り沢山のストーリー展開と

    ドンデン返しがあります。

 

 

この映画のベースには

  「周処除三害」の故事があります。

 

3世紀の中国三国時代に

  呉と西晋の武将・周処がいました。

 

 呉の豪族に生まれた周処は、

  幼くして父を亡くしたために

   乱暴狼藉者になります。

 

 周処が故郷に帰り、古老に尋ねた。

 

 周処  「村は、平和で豊作なのに、

        なぜ皆喜んでいないのか?」

 

 古老  「龍と虎、そして周処が

                 いるからだ」

 

 周処は、虎と龍を退治し故郷へ戻ると

   村人が「周処も死んだ」と喜んでいた。

 

 周処は、改めて、村人に憎まれていたことを

  痛感して、勉学に励み、精進します。

 

 周処の最後は、小部隊を率いて、大部隊に挑み

   援軍が来ないまま、討ち死にします。

 

  (周処の故事は

      京劇でも、演じられるそうです)

 

この映画の主人公が、周処そのもので、

  虎と龍の二人の極悪人を退治する物語と

    なっています。

 

 

周処の故事を知らないで観たので

  何か、不自然な、素っ頓狂な展開に

     戸惑いました。

 

 (中華圏の人々は、この映画の中国題名から

   すぐに内容が理解できるのでしょう。)

 

オープニングの派手なアクションは

  韓国映画張りの迫力があります。

 

一人目の極悪人は

 昔からよくある典型的な悪役です。

 

このパターンかと思った二人目の極悪人が

   想定外の設定に驚かされました。

 

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**** ここからは、ネタバレになるので

      観ていない人は、注意してください!****

 

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二人目は、カルト宗教が舞台となっています。

 

カルト宗教が、いかに人を騙し、金品などの

  全財産を奪うかを描いています。

 

オウム真理教を彷彿とさせられました。

 

極悪人を退治するのですが

  まさか、まさかの、ここまでやるかという

    驚きの展開となります。

 

   (映画を観て下さい)

 

ひょっとしたら、カルト宗教を

 根絶やしにする方法は、

   この主人公のやり方しか

     ないのかもしれません・・・嗚呼、トホホ

 

  (台湾でも、オウム真理教、

    旧統一教会のようなカルト宗教が

      社会問題になっているのでしょうか?)

 

この映画で最もショッキングだったのは

  台湾の死刑執行方法でした。

 

どのように死刑が執行されるかが

  よく分かります。

 

   (映画を観て下さい)

 

ここまで、丁寧に死刑執行を描いたのは

 死刑廃止を、訴えたかったのかもしれません。

 

 (死刑になんか、絶対になりたくないです!)

 

この映画には、ドンデン返しがいくつかあり

  ラストに、大きなドンデン返しがあります。

 

ドンデン返しのちょっとした伏線が、

  蒔かれていますので、

    注意しながら観て下さい。

 

映画全体は、ニヒルな、人生を達観したような

  視点で描かれています。

 

  (特に、カルト宗教教祖の愛人?が

     典型的です)

 

演技の上手い俳優を揃えています。

 

特に、極悪人の二人の俳優が

  印象深い演技をします。

 

せっかく上手い役者を揃えているのに

  生かしきれていないように思いました。

 

カット割りを多くして、スピーディーのある

  画面にすれば、もっと面白くなった映画です。

 

  (アクション系は、韓国、ハリウッドの

    映画作りを勉強すべきです。

 

  長回し、固定カメラで俳優に演技をさせるだけの

    日本映画ドラマよりは、マシでした)

 

ただ、ストーリーに様々な要素を盛り込み過ぎて

  散漫な作品になってしまったようです。

 

 (映画ではなく、ドラマシリーズにすれば

    ちょうど良いと思いました。)

 

意欲的な作品です。

 

中国故事を巧みに現代に

       アレンジしています。

 

ご覧ください。

 

台湾の死刑執行を知ったのが

  この映画の一番の衝撃でした。