ランク Bの中

 

自衛隊の秘密組織「別班」を主人公にした、

  対テロ工作と、親子の確執、愛国心を

    テーマにした作品です。

 

 

このドラマの最大の矛盾は

      ラストの親子の対立です。

 

ラストの10話で、

 主人公が、父親たちテログループ3人を

    撃ち殺すのですが・・・

 

実は、テロ組織に侵入するために

  別班仲間4人を、

    主人公は拳銃で射撃します。

 

この時、超人的な射撃の腕を持つ主人公は

 仲間の心臓を近くを狙って撃ち、

   からくも死なないような重傷を

     負わせるだけにできるのです。

 

ところが、ラストでは、最愛の父親を

  いとも簡単に撃ち殺すのです。

 

つまり、仲間を殺さないだけの拳銃の腕前なら

  父親らを殺さなくてすむ射撃が

    できるはずです。

 

その銃の腕前を発揮せずに

        殺してしまうのです。

 

笑止千万です。

 

私は、白けてしまいました。

 

なぜ、父親の時は、撃ち殺したのか?

 

殺さなくても、父親らを怪我をさせて、

 人質になっていた官僚を

    助けることができたはずです。

 

スケールの大きなドラマですが

  ありえない荒唐無稽さに

    壁壁しながらみていました。

 

あまりにも評判が高かったので

  期待して観始めたのですが

   終盤は、ストーリーだけを

      追うようになってしまいました。

 

超人的などんでん返しの連続です。

 

これを面白いと思うか、思わないかで

  このドラマの評価が分かれます。

 

 (私は、少しやり過ぎじゃないかと

   思ってしまいました。

 

 原作者は、どんでん返しのアイデアを

   存分に発揮しているのですが、

     主人公が、無敵のスーパーマンに

       なってしまっています)

 

架空の国を舞台に、スパイ合戦が

   繰り広げられます。

 

実際には、モンゴルで撮影されているので

  日本語とモンゴル語のチャンポンで

    科白が語られます。

 

日本人役の俳優たちが、モンゴル語を話すのには

  驚きましたが、一方では、

   モンゴル人役の日本人が、

     後半になればなるほど

      普通に日本語を話すので

        無国籍ドラマの様相になり

           無理が目立ってきました。

 

そのため、作り物の要素が目立ち、

  白けてきました。

 

リアルな国際情勢などを取り上げているのですが

 架空の国で、日本人達が、傍若無人、

   好き勝手に振舞っているので

     現実感が薄れてしまっていました。

 

世界を舞台に活躍するスパイ活劇ドラマなのに

  現実感が伝わらないドラマとなっていました。

 

モンゴルで2カ月以上の撮影をしたという

  多額の費用をつぎ込んだドラマです。

 

モンゴル政府?の全面的な協力もあったと

   思います。

 

 (日本では考えれない、エキストラやロケには

    驚かされました)

 

日本ではできないカーアクションや

  爆発シーンも派手にやっています。

 

   (アクションシーンの見せ場が

     韓国映画ドラマには、

       迫力が負けているような・・・)

 

派手なアクションが、ストーリ展開内で必然だという

  設定がないと、無意味なアクションシーンで

       終わってしまいます。

 

   (どうも、無理やりアクションシーンを

     作ったような気がしました)

 

主人公父子の確執、

  ヒロインとモンゴル少女の交流などが

     描かれています。

 

どれも通り一辺倒な設定で

     単純すぎたと思いました。

 

  (父子で裏切り合うとかが

     あってよかったと思います)

 

つまり、このドラマの大きな欠点は

  悪役が魅力的でなかったことです。

 

  (部下の悪役は、旅芝居に出てくる

    御代官様クラスで、

      平板で、物足りなかったです)

 

役所広司演じる父親が

  魅力的な悪役であったなら

    もっとドラマは、劇的な面白さが

      生まれたと思います。

 

 (役所広司の演技力が

    このドラマの崩壊を

        防いでいたと思いました)

 

日本への愛国心を強調していましたが

  単純な各国の愛国心が

    戦争、紛争を生み出していることを

      忘れているのではないかと思いました。

 

 (ウクライナもロシアも

   パレスチナもイスラエルも

      自国の愛国心を前面に出して

        殺し合いをしています。

 

  つまり、日本の愛国心は、日本だけで通用し

     中国、北朝鮮にはまったく憎悪の対象に

       なっていることを、

     原作者は気がついていないのかも

           しれません。

 

  このドラマに感動する視聴者は

     戦前の軍国主義の愛国心を

       蘇えさせるかもしれません)

 

原作者は、起承転結、ドラマの帰結の合理性を

  追求しているのは、よく分かりましたが、

    種明かしの面白さを追求しているようです。

 

 (どんでん返しと伏線を、

    存分にストーリーに入れています。

 

  この熱意と努力、アイデアには、

               感服しました。)

 

一言で言うなら、

  タップリお金をかけて

    モンゴルロケをした

       大掛かりで、大味な作品です。

 

自衛隊の別班ですが、

  自衛隊が、仮想敵国のみならず、

    同盟国の軍事、政治情報を調べるのは

       当たり前です。

 

合法、非合法に関わらず、

   スパイ活動をしない軍事組織は

        存在しません。

 

自衛官も大使館の駐在武官として

  各国へ赴任しているはずです。

 

民間人として、自衛隊のスパイ活動を

  していてもおかしくありません。

 

ゆえに、「別班」のような組織、部署は

  あると思います。

 

 (なければ、自衛隊は三流軍事組織です)

 

ただ、ドラマのような、「殺人」をも厭わない

  というのは、少し無理があるように思いました。

 

自衛隊は、テロ対策よりも

  軍事機密の防諜と調査が

    中心のような気がします。

 

 (テロで日本国家が崩壊することは

    無いと思うので・・・たぶん)

 

別班と言えば、阪本順治監督「KT」(2002年)に

  似たような登場人物が出てきます。

 

金大中拉致事件に絡んでしまう

    自衛官のスパイ?物語です。

 

「KT]は、別班を描いた

  最初で最後の映画ではないかと思います。

 

  (昔観たので、

    細かいところは記憶にないのですが

      自衛隊の非合法活動を

        描いていました。

 

   暗い政治映画だったので

      ヒットしなかった映画でした)

 

実は、「別班」が活躍して重要情報を入手しても

  上司がその価値を理解できず、

      大損したというのは

           いくらでもあります。

 

  (スターリンの独ソ戦開始情報

    ソ連の日本参戦情報など、

        数々あります。

 

   スパイ・ゾルゲは、その典型です。

 

   一方、情報を生かして成功した例も

     たくさんあります)

 

つまり、優秀な上司、知性あふれる政治家が

  いないと、いくらスパイ活動しても

    無駄になるのです。

 

「別班」の活動も大切ですが

  「別班」情報を理解できる

    トップこそ、一番重要なのかもしれません。

 

 

日本の映画ドラマ界の悪癖

  絶叫、大見得、大上段の演説

    お涙頂戴の大パレードでした。

 

安物の三流芝居と言ったら

     言い過ぎかもしれません。

 

美しいモンゴルの大自然の中で

  「田舎芝居」を演じているのが

     悲しくなりました。

 

眼を剥いて、力いっぱいセリフを言うのを

  いい加減に止めてもらいたいです。

 

  (「半沢直樹」は許せましたが・・・)

 

全10話を観ましたが、

  「何も心に残らなかった」

    ドラマでした。

 

  (「世間が面白い」「大人気だ」というので

     観たのですが、

       私の感覚とは違うのか・・・嗚呼)

 

日本のドラマ映画界は

  日本政府の外交と同じで

    海外作品に、

       まともな物はできないことを

         証明した作品かもしれません。

 

娯楽に徹するなら、

  見せかけの海外協力

     中途半端な恋愛をカットして

        政治活劇に徹するべきだったと

           思いました。

 

日本のドラマ映画界の

  暗黒時代は続きます・・・トホホ、嗚呼