ンク Bの上~Aの下

 

満洲と言えば

 「二キ三スケ」:東条英機、星野直樹(日産社長)

           甘粕正彦(憲兵時代に大杉栄惨殺)

           岸信介(安倍元総理の祖)

           河本大作(張作霖爆殺事件)

 

 が有名ですが、この本では

   歴史の教科書に、メインで出てこない

     軍人、官僚、政治家、運動家や

      満洲を旅した作家、ジャーナリスト、俳優など

        満洲帝国に関わった脇役たちに焦点を当てて

         新国家建設が、日本と日本人にとって

         どんな意味があったか?を記した

           歴史探偵風のエッセイ的な

             歴史書です。

 

 

分厚い本ですので、読むのが大変ですが

  各人物に焦点を当てた36回に分けて

     書かれているので、

        一気に読まなくても

           コツコツと読むことができます。

 

  (同じ人物が関連して何度も登場するのですが

    細かいことは気にせず読みましょう)

 

満洲国という新国家を作るという

  壮大な計画に、日本から多くの優秀な人材、

    資金が投入されたことを教えてくれます。

 

最初は、五族協和を掲げた理想国家のはずが

  日本の軍部傀儡政権、属国に成り下がっていきます。

 

ほぼゼロからの新国家建設ですので

  法律、行政組織などを構築するので

    東京の官僚から、優秀な若手が

      派遣されます。

 

  (海千山千の満洲国ですので

     東京の官僚エリートコースから外れた

        都落ちのような意味もあったようです)

 

関東軍が頭を抑えられた満洲国ですが

  自由に理想国家を作る面白さが

    多くの日本人を満洲国へ向かわせました。

 

弾圧受けた元社会主義者、元共産主義者、芸術家も、

  日本本土より規制が緩く、自由な満洲国で

    新生活、再復活をできました。

 

もちろん、この本にも書かれてましたが

  現地の中国人の土地、資本を奪った結果の

    満洲国の繁栄でありました。

 

この本の各回では、主に1人の人物に焦点を当てて

  人生遍歴、個人史、思想、活動について

    その変遷、エピソードが語られ

       満洲国にどのように関わったかが

         描かれます。

 

各回15ページの完結ですので

  3ヶ月くらいかけて、コツコツ読んでいきました。

 

歴史教科書では、国家がアッサリと

  有名人とエピソードで語られますが

     この本を読むと、多くの人間が関わり

        成立していることを教えられます。

 

あくまで、日本人からの視点の本です。

 

中国人たちが、満洲国をどう思い

   どのように生きたかは語られません。

 

この意味では、一方的な本かもしれません。

 

ともかく、登場人物たちの

 満洲国での生き様が

   活き活きと語られています。

 

著者は、資料の鬼です。

 

各人物の大量の書物、記録を丹念に集め

  分析して、満洲国との関りを

    浮かび上がらせています。

 

多少、戦前の文語調、漢文調な表現が

  ありますが、細かいことは気にせず

     読みましょう。

 

この本は、見方によっては

  満洲国の短編伝記集となっています。

 

どちらかというと、歴史好き向けの本です。

 

日本近現代史を専門にする方は

  必読の書です。

 

歴史の細部の大切さ、面白さを

  教えてくれる本です。

  

満州国に蘊蓄を語るには

  必読の書です。

 

私のような映画好きには

  笠智衆、原節子、木暮三千代などの

    エピソードが面白かったです。

 

  (黒澤映画で活躍した

     名女優・木暮三千代の不倫の詳細を

        初めて知り、驚きました。)

 

この本を読んで思ったのは

  歴史を記録することの大変さです。

 

有名人だけなく、庶民の個人記録が

  歴史にを語るうえで大切なことだという事です。

 

チャンスがあれば、お読みください。

 

  (立ち読みなら、木暮三千代を読みましょう)

 

歴史、満洲国を知っている著者だけが

  書くことができた本だと思いました。

 

  (NHKBSの歴史番組「英雄たちの選択」で

    満洲国を取り上げて欲しいなあ・・・

 

   その時は、著者を出演させて欲しいなあ・・・)