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北海道出身の二人の作曲家、
「七人の侍」の早坂文雄
「ゴジラ」の伊福部昭
が、中学校で出会い、
音楽に情熱をかけた青春時代を
描いたノンフィクションです。
私が一番好きな映画「七人の侍」の音楽作曲家、
早坂文雄の人生を知ることができたのが、
最高に嬉しかったです。
(長い間、黒澤明後の早坂文雄の
人生は少しは、知っていたのですが、
それ以前の半生は、
私には、謎だったので・・・)
まさか、この同じ年の二人が、札幌の中学生時代に出会い、
ライバル関係を続けながら、友情を深めていたことを
初めて知って、驚きました。
映画音楽界の二人の天才が、
これほど濃密な人間関係を
結びあっていたのにも驚きました。
この本は、二人の関係だけでなく
北海道・札幌を中心とした音楽愛好家たちの
歴史的な情景も、しっかりと描かれていて
昭和初期の音楽を愛する男達の
情熱を描いています。
(初めて知ったことだらけで、
一気に読んでしまいました!)
言葉は悪いですが、北海道の片田舎で
日本の音楽界をリードする作曲家が
生まれるなんて、ちょっと信じられないです。
この本は、どちらかというと、早坂文雄に
重きがあるのは、早坂文雄の人生が
ドラマチック過ぎるからでしょう。
貧困と不幸と、家庭崩壊の中でも
芸術、音楽に生きる望みを捨てなかった
早坂文雄でした。
(伊福部昭は、中流以上の家庭で育ったので
それなりの苦労はありましたが
早坂文雄ほどの苦難は少なかったです)
早坂、伊福部の二人とも
正式な音楽教育、作曲方法を、
まったく学ぶことなく
独学で習得していったのには
信じられないことです。
まさしく、二人は、天才です。
(TV番組「駅ピアノ」で
独学でピアノを弾く人が
よく登場しますが、
これに近いものがあるのかもしれません。
ただ、弾くのと、オーケストラ作曲するのとでは
雲泥の差があるとは思います)
早坂は、貧乏教師をしながら、作曲を続け
伊福部は、釧路の田舎の職場(林業事務所)で
作曲を続けます。
二人とも、それぞれに作曲コンクールで受賞し
作曲家として、世間への道が開けていきます。
早坂は、母を亡くし、
父親は家庭を顧みず、兄弟姉妹は
離散します。
肺結核でありながら、必死に働き
作曲を続けます。
(伊福部をはじめ、多くの友人に支えられ
音楽を続けることができました。
早坂のまわりの音楽愛好家たちの話も
素敵です。)
大恋愛もします。
(写真で見ると美男子ではないのですが
音楽への真っすぐな情熱が、
女性の心を掴むのでしょう。
早坂文雄
なお、伊福部は、イケメンのお坊ちゃまです
なおなお、二人とも長身でした)
つまり、「早坂文雄」の人生は
映画、ドラマになります!
(ネットフリックスが、札幌の雪景色を舞台に、
ドラマ化しないかなあ・・・)
この本は、メジャーになるまでの
二人の青春を描いた本です。
この本は、戦前の、札幌の音楽事情だけでなく
世界から見た二人の状況も
よく調べられて、知ることができます。
(この二人の弟子からは、
多くの有名な作曲家たちが育ちます)
1955年、早坂は、結核で
41歳の若で亡くなります。
(伊福部は、2006年、91歳没)
その葬式の場で、
黒澤明と溝口健二が大喧嘩をします。
(何があったかは、本を読んで下さい!
早坂の死後、黒澤映画に
力が失われて、行くんだようなあ)
とても読み易い本です。
映画通は、必読の書です。
是非、お読みください。
同い年の、二人の天才作曲家が、
北海道・札幌に生まれたのは
日本の奇跡です。
この本は、この奇跡を描いています。
素晴らしい曲は、一度聴いたら
そのメロディーを口遊むことができます。
「七人の侍」と「ゴジラ」です。
最後に、著者の「黒澤明と早坂文雄
風のように侍に」を
読まないと!


