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太平洋戦争中、日本軍の軍人、軍属に

  徴兵された在日韓国人障碍者の

     ドキュメンタリーです。

 

 

日本テレビのドキュメンタリー番組

 「ノンフィクション劇場」の1本(約25分)です。

 

監督:大島渚、野口秀夫  脚本:大島渚、早坂晩

ナレーション:小松方正

 

敗戦後17年後の1963年、

  在日韓国人傷痍軍人の生活を

     記録した作品です。

 

  (このドキュメンタリーがあることは

     知ってはいたのですが

       在日韓国人、朝鮮人傷痍軍人だったとは

          知らなかったです。

 

   恥ずかしながら、日本人傷痍軍人だと

       思っていました・・・トホホ)    

 

太平洋戦争中、多くの南北朝鮮人が

  徴兵、徴用され、兵士、軍属として

      戦地へ送られた。

 

  軍属:基地、道路建設、

        車輌、物資の補給品管理

           食堂など雑役を担った。

      軍組織に属さなないが、

         時には、武器を持たされ戦闘をした。

 

  (今の30万人動員のロシア軍も同じ?

     訓練しないと、まともな兵士として

       戦闘はできないので、爆弾を抱えて

         肉弾攻撃にしかできないような・・・)

 

日本と天皇陛下のために、戦地で

   失明、手足の欠損などの障碍者となる。

 

日本人の軍人、傷痍軍人、遺族は

  軍人恩給を支給されるが、

     平和条約、日韓条約等で、韓国人籍となった

        在日韓国人傷痍軍人たちは

           外国人であるために、

    軍人恩給の支給対象から

       排除された。

 

韓国側は

 「あなた方の傷は、日本のために負った。

     ゆえに、日本へ補償を要求すべきだ」

 

日本も韓国も、やっかい払い・・・嗚呼。

 

  (日本人に帰化すると、恩給対象者になれる。

 

     アイデンティティーを否定することを

       求められるのは、現在の日本も

          変わっていないと思う。

 

     軍人恩給の遺族年金は、

       妻か、障害のある子に

         年間約200万円が支給されるとか・・・)

 

今よりもっと障碍者差別が酷かった時代です。

 

傷痍軍人の普通の就労はできず、

   道端で街頭募金(物乞い)をして、

      生活をするしかなかった。

 

 (私が子供頃、繁華街の入り口などで

    白衣を着た傷痍軍人たちが

       首から募金箱を下げて

          街頭募金(物乞い)をしていた。

 

  大阪へ就職し、石切り神社へ初めて行った時にも

     傷痍軍人が立っていたなあ・・・)

 

幟を立てデモをしながら

  総理大臣官邸や外務省へ

     軍人恩給・補償金の支給を請願する。

 

相手にされない悔しさは

  酒を飲んで憂さを晴らすしかない。

 

1人の失明した韓国人傷痍軍人にスポットを当てて

   記録している。

 

純粋に、記録したというより

  演出を加えていると思った。

 

  (朝鮮人納骨堂、鎌倉鉄道?江の島?などの

    シーン撮影ですが・・・)

 

白黒画面であるがゆえに

   強烈な印象を残す作品となっています。

 

ナレーターの科白には

  明確な主張が込められています。

 

 「(在日韓国朝鮮人傷痍軍人を捨ておく

     日本人よ、これでいいのだろうか?」

 

ドキュメンタリーの手法として

  A 極力手を加えないで記録・編集(柔らかい主張)

  B  強い主張を持って記録・編集

      の2通りがあるように思います。

 

このドキュメンタリーは、Bです。

 

戦後17年の日本、日本人への、

   戦争責任を追及したドキュメンタリーです。

 

是非ご覧ください。

 

傷痍軍人と日本庶民との

    ギャップを描いています。

 

太平洋戦争は、終わっていない!

 

 (編集で、強い印象を与え、

        強烈に主張を表現しています)

 

現在のドキュメンタリーは、当たり障りの少ない

  A形式の作品が多いです。

 

  (作品制作者の主張は、

     観た人の感性に委ねる形式が

        多くなっています)

 

ドキュメンタリー作家を目指す人は、

  必見の作品です。

 

  (編集手法、演出はどこまで許されるのか?)

 

ドキュメンタリーとは何か?を

  教えてくれる作品です。

 

1963年頃は、TV界には

  表現の自由が溢れていたことを

     教えてくれる作品です。

 

  (同じ番組シリーズの

    「南ベトナム海兵大隊戦記」作品では

     1部が放映後、反米だということで

        日本政府からの圧力に屈し、

   予定されていた2部、3部は放映されなかった。

 

     たぶん、ベトナム戦争真っ最中の

          アメリカ政府の圧力もあったはず!

 

   なお、1部には、捕虜虐殺、生首をぶら下げている

     シーンなどがあったが、問題シーンの一部は

       廃棄処分となり、現存しない?らしいが、

         東京大学で上映会があったそうです・・・

 

    放送禁止になった作品ほど、観たくなるのは

       人間の性です・・・観たい!)  

 

ラストシーンで、傷痍軍人の家族が登場します。

 

ネットで「忘れられて皇軍(25分)」を

   観ることができるので、観て下さい。

 

  (ネタバレは嫌なので、是非観て下さい!)

 

複雑な気持ちにさせられます。

 

戦争が、不幸を連続していくことを

   教えてくれます。

 

 (プーチン戦争のウクライナも同じ状況です)

 

愛のありようも考えさせられます。

 

日本の軍歌が流れますが

  勇ましいというより、哀愁に満ち溢れているのは

     日本民族のセンチな特性かもしれません。

 

  (私の幼い頃は、私が軍歌を歌えたくらい、 

       戦争はまだ、身近な存在でした・・・

 

      軍隊帰りの教師も多かったし・・・)  

 

 

なお、台湾人軍属、軍人も同じ問題を抱えています。

 

台湾人元日本兵が裁判を起こしたが、

  恩給支給は退けられた。

 

 (裁判長が、台北高校の同級生だったり、

   台北高校の同級生国会議員が

      恩給支払いの立法を目指したりと

         様々なドラマがあった。

 

   充分、映画化、ドラマ化できると思うけど・・・)

 

恩給は出なかったが、弔慰金という形で

  それなりの補償金は出た。

 

在日韓国朝鮮人軍人、軍属へ

  弔慰金が支払われたかどうかは

     私は、調べられていません。

 

裁判で戦った在日韓国人元軍人はいますが

   裁判は、負けています。

 

裁判で恩給、補償を認めると、

  インドネシア、マレーシア、フィリピン、ミャンマー、

    中国、太平洋に島々の人、欧米人捕虜など

       日本のために命を懸けて働いた事実が

            具現化します。

 

日本の裁判所は、無尽蔵の補償金が派生するので

     絶対に認めないはず・・・嗚呼。

 

  (主に個人の補償、倍賞ですが・・・)

 

是非ご覧ください。

 

日本人必見のドキュメンタリーです。

 

TV界が元気なころの作品です。