ランク A上~Bの下

 

妻  「アナタ~!パク・ボコムが出演している

       映画を見つけたわよ!」

 

  (妻は「青春の記録」を観て

       追っかけを始めています・・・トホホ)

 

コインロッカーに捨てられた少女が

  裏社会の女ボスとの絆の有り様を

       過激に描いたやくざ映画です。

 

 

韓国やくざ映画は、

  暴力シーンが半端ないです。

 

妻も、パクボコム観たさに観始めました。

 

暴力シーンが残酷なので

  途中から、観るのを止めたいと言ったのですが

      最後まで観てしまいました。

 

血飛沫が苦手な方には

   お勧めできない映画です。

 

韓国やくざ映画は、

  暴力リアリズムが命です。

 

いかに残酷に演出できるかが 

    監督、演出の力の見せ所となっています。

 

中国系女ボスの生き様が、この映画の本道です。

 

女性の方が、男より残酷になれるというか

  冷酷さを求められるのが裏社会のようです。

 

  (一般社会も同じで

      女性は男性より、成果を求められます。

 

    見方によっては、この映画は

       ジェンダー映画かもしれません)

 

ボスを演じるキム・ヘスの冷酷さ、迫力には

   圧倒されます。

 

韓流ドラマ「シグナル」の刑事役とは

  全く正反対のキャラを、見事に演じています。

 

 (「シグナル」では痩せて、とてもスマートなのに

    この映画では、10kg?くらい太って

         演じています。

       見事なプロ根性です。)       

 

韓国のどの俳優をとってみても、

   カメレオンのように演じ分けます。

 

「応答せよ1988」の生徒会長コ・ギョンピョの

    悪役振りに、驚かされました。

 

韓国やくざ映画の秀作「楽園の夜」の主役で

   ハスキーボイスのイケメン・オムテグも

      渋く出演しています。

 

韓国映画が、日本映画と大きく違うのは

          障碍者を登場されることです。

 

知的障碍者役のチョヒョンチョルは

        神がかり的な演技をします。

 

日本映画ドラマ界なら、

  障碍者は無垢で、純粋で、無難な役でしか

      登場しないのですが

韓国映画界は、

  良くも悪くも、一人の個性ある人間として

        登場させます。

 

日本なら、クレーム、非難、炎上を怖れて

   アンタッチャブルにしてしまうのですが

      韓国は、あるがままに、必要とならば

          正面から描きます。

 

 (昭和40年以前なら、日本でも障害者を

    笑いしたり、悪役にすることが

      できました。

  TV番組「シャボン玉ホリデー」の

     ハナ肇とザピーナッツのギャグとか・・・。

 

  なお、障碍者の韓国映画と言えば

       傑作「オアシス」があります。)

 

パクボコムは、暗いだけの登場人物の中で

   一人だけ、明るく前向きに生きようとしている

        人物を演じて

   映画にコントラストを作っています。

 

この映画の、大きな魅力、見どころは

       登場人物の髪型です。

 

女ボスの髪型なんか、

   一度目にしたら、忘れられなくなります。

 

残酷な、過激な映像が続きます。

 

暗くて、救い?のない映画です。

 

気の弱い方には、お勧めできません。

 

なお、ここからは、ネタバレになる話を書くので

  見ていない人は読まないで下さい!

 

*****************************************

 

10番のコインロッカーがそもそもの始まりです。

 

ラスト近くで、女ボスが、10番ロッカーに

   大切なものを預けます。

 

このシーンを観た時

 

  「コインロッカーに、

      生まれたてのイリョンを捨てたのは

          女ボスだ!」

 

と思いました。

 

結果的に、イリョンを養子縁組にするのですが

   本当は、実子だったのではと・・・。

 

実子だからこそ

  (そう思い込んだだけだったかもしれませんが)、

      イリョンが魅かれたパクボコムを

          嫉妬から殺し

   仲間には「手を出すな」という命令を出したのだと。

 

映画では、イリョンを守った女ボスの理由は

  遺言のように養子縁組書類で

    謎解きとなりますが・・・

 

そして、女ボスの母親殺しの理由は

  自分が生んだばかりの乳児を

     母親に棄てられた恨みからではないかと・・・。

 

オディプスコンプレックスの映画です。

 

精神的に親殺しをして、

   一人前の大人になるという映画です。

 

 (映画では、肉体的にも殺しますが・・・)

 

そういえば、韓国映画は

      マザコンが底流にあります。

 

この監督は、屈折したものを持っていると思います。

 

否、屈折したものを持ていない人間は

     監督になれず、良い映画を

          作ることはできません。