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1936年ベルリンオリンピック出場した

  アメリカ長距離選手が、日本軍の捕虜となり

    収容所から生還した実話の映画化です。

 

監督は、女優アンジョリーナ・ジョリーです。

 

 

原作にある日本軍による捕虜食人が

  映像化されているとかで、反日映画だと

    上映反対運動が起きた映画です。

 

食人シーンは無いですが、

  アメリカ兵捕虜虐待は

      きっちりと再現、映像化されています。

 

アンジョリーナ監督は

  手堅く丁寧に映画を作っています。

 

  (いつの日か、アカデミー監督賞を受賞するでしょう)

 

セット、衣装などが、細部まで見事に再現されているので

   その時代の映像の世界に没入できます。

 

驚いたのは、爆撃機B-24の戦闘シーンです。

  

  迫力ある臨場感あふれた映像です。

 

   ミリオタは必見です!

 

優秀な軍事専門家の元で、

       映像化しています。

 

  (実機も飛ばしていたと思いますが・・・)

 

      「映画は細部に宿る」

 

時代考証がしっかりした映画は

   安心して、映画を観ることができます。

 

  (アンジョリーナ監督は、ミリオタかも?)

 

主人公の少年の、成長映画でもあります。

 

映画は、前半のゴムボート漂流と

  捕虜収容所のシーンが、中心に描かれます。

 

ほんまに、漂流シーンは、出色です。

   監督の腕の良さが、存分に発揮されています。

 

役者達も、絶食して?ガリガリに痩せて

    役者魂を見せつけてくれます。

 

悪役の収容所所長は、

   ギタリストのミヤビが演じています。

 

軍服が少し似合って無かったのですが、

   エキセントリックな役を

       一生懸命に演じて、好感が持てました。

 

なお、収容所の建物が、神社建築?のようだったのが

      ちょっと残念でした。

 

アンジョリーナ監督は、リアリズムを追求する監督です。

   このこだわりが、映画に奥行きを持たせ

       画面を引き立てます。

 

直江津の石炭運びなど

   メーキャップが見事です。

 

反日的?映画ではありますが、

  エンドロールに、この映画の主旨が分かります。

 

反日というより、何が起きて、

  人間は何を成しえたのかの

     事実を描いています。

 

同監督の「最初に父が殺された」も

   同じテーマで描かれています。

 

   (この映画もいい映画ですので、

      是非ご覧ください)

 

明らかに、映画を監督の主張?である

    「人類愛」のプロパガンダ映画です。

 

飽きることなく、ラストまで映画に魅入ってしまいます。

 

日本の捕虜収容所映画と言えば、

    「戦場のメリークリスマス」があります。

 

  (大島渚だったから作れた映画で

     この種の日本映画はこれからは

        絶対に作れないでしょう・・・トホホ、嗚呼)

 

寓話的な「戦メリ」に対し、

   リアルな「アンブ」です。

 

人情の「戦メリ」に対し

   クールな「アンブ」です。

 

是非ご覧ください。

 

日本軍は、捕虜をどうするかを

   ほとんど考えずに戦争を始めました。

 

  (日本は、捕虜になるのを許されなかったですが

     欧米は、捕虜になることを前提に

         戦争をしていました、

   

  フィリピン、シンガポールなどで

    捕虜が多すぎて、数々の悲劇が生まれました。

 

  一言で言うなら、捕虜は「タダ飯食い」です。

    ゆえに、強制労働をさせた面があります。)

 

エンドロールで、大切なメッセージがあります。

 

  「汝の敵を愛せよ。許せよ」

 

骨太な映画を作るアンジョリーナ監督は

  偉大です。

 

作らせるアメリカ映画界も

   懐が広いです。

 

職人芸の監督の境地の監督になっています。

 

日本にも、アンジョリーナのような監督が

   現れることを願うばかりです。

 

戦争映画は、金がタップリかかるしねえ・・・トホホ、嗚呼。

 

日本では無理か・・・。

 

いい映画です。

 

反日映画でないことは

   エンドロールで分かります。

 

ミヤビ演じた渡辺所長も

   収容所ではなく

      戦場へ行きたかった?はずです。

 

過酷な戦争を生き残った人間は

   神様の運があったのかもしれません。

 

否、生き残ったから、伝説となったのでしょう。

 

ネットフリックスで観ました。

 

是非、ご覧下さい。

 

ちょっと、宗教を信じる人を、

         羨ましく思いました。