ランク Aの下~中

 

アメリカ禁酒法時代に活躍した二人の法医学者のノンフィクションです。

 

 

単なる毒殺殺人の話だけではありません。

 

読めば読むほど、知れば知るほど、

     驚きの連続です。

 

二人のアメリカ人科学者の人生を中心に

  法医学が、歴史的にいかに生み出され、

     社会や裁判所から認知されて

         犯罪者を追い詰めていったかを

              見事に描き切っています。

 

アメリカ禁酒法時代のドタバタを

     政治、風俗なども織り込んで、

            毒、毒殺の歴史を教えてくれます。

 

映画、ドラマでよく見た「大恐慌」「アル・カポネ」の時代の

    本当の姿を教えてくれる本です。

 

「禁酒法」が、「生類憐みの令」と同じで、

    理想と現実の齟齬を抱えた悪法であったことも

         教えてくれます。

 

ちょっとショッキングだったのは、

    「電気椅子死刑」「毒殺死体」などの描写です。

 

  (ここを読めば、絶対に死刑なんかなりたくないと思うはずです)

 

二人の科学者、ノリスとゲトラーの努力と活躍が無ければ

    世界の科学的犯罪捜査は、

         100年以上遅れたと思います。

 

この本は、毒薬から見たアメリカの

    ノンフィクションというより

         立派な歴史書です。

 

読みだしたら面白くて、知的興味も満足できる本です。

 

ただ、高校化学の基礎知識がないと

     ちょっと苦しいかもしれませんが、

         分からないところは気にせず

            毒薬について

   誰が、何をしたかを読むだけでも、面白いです。

 

訳も読みやすいです。

 

ともかく、二人の偉大な天才法医学者が

   アメリカに生まれたことを

       世界は感謝し、喜ぶべきだと思う本です。

 

是非お読みください。

 

2時間ドラマより、面白いはずです。

 

  「事実は小説より奇なり」

 

この言葉を噛みしめることが駅る本です。

 

なお、この本を読んで毒殺の参考にしない様に!

      (読めば分かりますが、バレます)

 

1920年代前後のアメリカを知ることができる名著、歴史書です。