ランク Aの下

 

日本軍の最も無責任な戦いの、負け戦の第1号です。

NHKスペシャルの番組の新書化です。

番組で紹介されなかった内容が多く、新鮮でした。

 

ノモンハン事件は、ソ連(今はロシア)との国境紛争です。

双方、多くの犠牲者を出したのですが、

軍事的にも、経済的にも大きなメリットは何もなかったという

国と陸軍のメンツとプライドだけをかけた戦いでした。

 

少々、国境線が違っても、土地が減っても、単なる草原です。

国民がいるわけでも、農業をしているわけでもない、

モンゴルの何もない放牧地です。

 

無益な戦いです。

 

戦争は、イケイケドンドン派が、慎重派を駆逐します。

 

司馬遼太郎が「ノモンハン事件」を本にしようと、何年も研究したのですが、

調べれば調べるほど、日本人、日本民族のダメなところ

嫌なところ、馬鹿なところが見えてくるので、耐えきれず

執筆を諦めたという戦争です。

 

太平洋戦争の失敗の理由、原因のすべてがこの戦争にあると言えます。

 

名著「日本軍失敗の研究」でも分析されています。

 

なお、田中角栄元総理は、ノモンハン戦を目撃しているようです。

  (この体験などから、田中角栄は、戦争絶対反対を言い続けました)

 

イケイケドンドン派の一番手は、辻参謀です。

  (戦後、上官や関係者たちは、彼に責任を押し付けたことも多いとか)

 

頭は抜群に良いが、融通が利かず、自分の考えは一番正しいという

エリート意識の塊のような人物です。

 

  (エリートは、ミスの言い訳をするのも、詭弁を弄すのも、

   下っ端に責任を押し付けるのも一流です)

 

ただ、辻参謀は、根が真面目なので、最前線へよく行きます。

 

  (ガダルカナル、インパールにも現れます。

   ひょっとしたら、真馬鹿真面目なので、上官に行かされたのかも)

 

戦後は、逃げ回って、ほとぼりが冷めたら、国会議員にまでなり、

ラオスで行方不明になります。

 

   (明らかに、日本軍のアジア進出に関係した辻参謀です。

   中国華僑、現地の人民からは、恨まれる存在なので

   たぶん、殺されたようにもうのは私だけか・・・)

 

ノモンハンの悲劇は、

無益に死んでいった兵隊たち、

そして、責任を取らされ、自決を強要された指揮官たちと家族です。

 

著者は丹念に、調べて、客観的に本を書いています。

 

  (辻参謀も自決した将校たちについても平等に)

 

実は、日本軍の敵に捕まった捕虜への過酷な処置の始まりは、

ノモンハン事件が始まりです。

 

とても読みやすい本です。

ミリオタ、歴史好きだけでなく、広く国民が読む劇本です。

 

日本軍、太平洋戦争を勉強する入門書として最適です。

 

是非お読みください。

 

日本人、日本民族の欠点を知ることができる本です。

 

  (戦争好きの安倍総理は、読まないか・・・トホホ、嗚呼)