行きつけのお店が、閉店することになり、友人と2人で、お別れの挨拶に行ってきた。
いつも、BTSや韓国のアイドル達のポスターや写真に合わせて、可愛くディスプレイされていた入り口は、まだ閉店まで何日もあるのに、もう何も飾られていなかった。
「こんにちは」
なるべく、明るく元気な声を出して私達が入ると、片付けをしていた店主が振り向いた。
「来てくれたんだ」
「うん。ちゃんと、閉店前にお礼を言わなきゃね。今まで、ありがとうね」
店内は、既に撤去の準備を進めていて、まだ商品は並んではいるけれど、どこか乱雑で、お店が閉まることを実感した。
店主と私達。店内に響く、3人の声。
「BTSの兵役が終われば、お客さんは戻ってくると思っていた」
「でも、BTSの兵役が終わっても、お客さんは戻らなかった」
「きっと、来春にBTSがカムバックすれば、お客さんは戻ってくると思う」
「でも、もう、来春までは待てないんだよねー」
明るく元気に、閉店の事情を話し終えると、店主は、推しのことを話し始めた。
「ジミンちゃん、これから楽しみだねー」
「えっ、いや、ほら、推しは、当分、無理だと思うんだけど」
「そんなこと無いよ。イゲマジャ2も来るし、きっと、他にも、何か来るよ」
「大丈夫、大丈夫。ジミンちゃんは、大丈夫」
「そうだよ。ジミンは、大丈夫」
「2人が言うなら、間違いない。推しは、大丈夫だ」
3人で、顔を見合わせて笑った。
セール品から数点選んで、レジへ持っていくと、いつものように「これ、サービスね」とオマケを付けてくれた。
いよいよ、お別れだ。
「お世話になりました。ありがとうございました」
友人と一緒に、お辞儀をした。
「ありがとうねー」
「元気でね」
笑顔で、手を振り、外へ出ようとすると、店主の声がした。
「あ、ちょっと待って」
「これ、持っていきなよ」
armyのために、店主が作ったグッズ。
「いいの?」
「いいよー」
「じゃあ、貰うね。ありがとう」
「今まで、ありがとうねー」
「じゃあね」
泣かないように。明るく元気に。笑顔のまま、店を後にした。
それから、私達は、韓国居酒屋へ向かった。
昼間なのに、レモン酎ハイやらマッコリやら、お酒を飲んで、気づいた時には、2人共、ただの酔っぱらいになっていた。
カッコいい先輩armyの〇〇さん、どうぞ、お元気で。
ご覧いただき、ありがとうございました。
以上です。