初めての既婚者アプリでの彼には気に入ってもらえなかったので、次行きます!

まるで人ごとのような気楽さで次の人を選ぶ。

選び選ばれていくこの感覚が、まさにアプリでの出会いなのかと、現実感のない人々を見ていく。


この人と恋愛できるかではよく分からないから、もう初対面でもキスできるかを基準に選ぶことにした。

そうなると、ある程度好みの顔と雰囲気で選んでいく。同時に私も選ばれていく。

俳優っぽい目の大きな彼に臆することなくいいねを送る。

選ばれなければそれで終わりだから、ゲームのよう。

あっメッセージが来た。

「初めまして花です。

仲良くしてもらえると嬉しいです。」


良かったー、メッセージのやり取りができそう。

ほっとしながら、メッセージの返信をする。


「こちらからよろしくお願いします。」

さぁテイク2はどうなることか。


彼とのやりとりは順調で、早速駅で待ち合わせた。

彼の奥様が浮気してるから自分もしようと言う理由でマッチングアプリに登録したと言っていたけど、無理ありすぎるよね。

浮気したいだけなんじゃと思いながら、まぁ既婚者アプリですからそう言うものですね。


彼は三つ歳下のアパレル関係のお仕事をしている東京在住のファンデーション男子だった。

元ビューティーアドバイザーの私には、その厚塗りファンデーションに隠された素顔がどんなお手入れ環境か気になった。

顔はタイプだからいい!

彼のおすすめのお店に行ったら休みだったから、私の行きたいガレットのお店に行ったら、激混み。

週末予約もしないで集まったことを反省しながら、比較的待たなくていいハンバーグレストランの行列に並んだ。

待っている間にお互いのことを話していく。


「えーそうなんですかーだからおしゃれなんですねー♪」


ふわふわした軽いリップサービスを織り交ぜながら、初対面の人にはすこぶる印象の良い自分の側面をきっちり出していく。

このくらい接客を生業にしている私には余裕。

だけど仕事とは違い成果はお互いいい感じになることという感情とタイミングが大切な次へ続く気持ち。

次も会いたいと思ってもらえるか、自分もそう思えるか。

駆け引きはまだまだお互い続く。