元々不眠症ではなかった


一昨年、家族との会話で不眠症になった私は、半年ほどメンタルクリニックに通った


少しずつ自分の気持ちに蓋をするのを辞めたからか、

不眠症は少し良くなったが、考えることがやめられなくて眠れないことはたまにあった


考えたくて考え続けたくなる病


大したことは考えていないのに、考えがまとまらない


家族の考えが自分が一番正しくて、私の考えを否定したがる人だから、話していると心が死んでいく


なんでも否定したがる


そんな時、私を気遣ってくれた彼がたわいもないことだけど、大切なことに気づかせてくれた


彼のこと好きになってた


家族よりもずっと好きな人ができてしまったから、苦しくて少しの罪悪感とときめきの高揚感で眠れなくなっていた


家族のことはどうでも良くなってたから、色々嫌なことや愚痴を言われても気にしなくなった


彼のおかげで気持ちが楽になった


自分の気持ちを大切にしてなかったことに気づかせてくれた


私、自分よりも他者を大切にしなきゃって思ってたんだよね


人のために尽くすってことで人間性が養われると思ってたけど、自分の事も大切にしないと緩やかに自殺している感じになってた


家族の下僕になるのは辞めた


対等な関係も求めてない


離婚して自由に生きたいけど、生活費がいるから働く


なんて事ない単純な社会システムに戻っただけなのに、とても楽しい


眠れない仕事だけど、仕事の後は死んだように眠れて、他の日もよく眠れるようになった


多分精神が安定したんだと思う


私にとって、仕事は辞めちゃダメだっだんだ


社会や人と関わる時間が私には必要で、家族だけの生活は大切だけど自分を出しきれなくて苦しかった


良き家族でありたいと思ったことで、自分を苦しめていた


どうでもいいじゃんそんなことって今は思う


私が楽しく気持ちよく過ごせる時間が少しでもあれば、人にも優しく接していられる


既婚者の私が好きって彼に言うことはなかったけど、本当に好きだったからきっと気持ちは滲み出てた


だから仲良かったのに途中から冷たくなったんだよね


彼のことを思い出すとまた眠れなくなっちゃうかと、スマホの時計を見たら真夜中を少し回っていた


お気に入りの桜色のシルクのパジャマに着替えて、そっと目を閉じる


ふかふかの布団で今日も良く眠れそう


彼にはもう2度と会えない


死んでないけど死んだような人


私のLINEも未読のまま何ヶ月も放置されている


元同僚なんてそんなもの


もう彼への気持ちは手放したけど、恋した気持ちまで無くしたくない


また恋したい


そう呟いて目を閉じた