ホテルのフロント業務をはじめて、あっという間に1ヶ月経った私は、仕事帰りにボーと寝不足の頭で駅に急いでいた


ただひたすらに寝たい


不眠症の私が寝たくて寝たくてたまらない生活になるとは、夢にも思っていなかった


駅に着き改札口からエスカレーターを登ると、ちょうど電車のドアが閉まった


あーマジか


次の電車を立ったままウトウトしながら待つ


本当は座り込みたいけど、そしたら熟睡してしまいそう


新しいホテルの仕事は、フロント業務

勤務時間は25時間


真夜中か明け方に2時間寝られたらいい方だけど、神経が昂った日は一睡もできない

書類作成や予約業務が立て込んで、真夜中でも仕事は山積


思ってた仕事内容もは全然違い、勤務時間内のほとんどが業務時間で、休憩も取る時間がない時もある


それでも仕事が楽しいと思えるのは、新しいことをどんどんこなしていく達成感のおかげだ


まだまだ覚えられないこともあるけど、身についてきたこともあるから、毎日楽しい


ふふって笑いそうになりながらも、眠い


帰ったらすぐお風呂に入って寝ようかな


寝たら1日のリズムが狂うかな


そんなことを考えながら、電車の中で一瞬寝ていた


教育係のアンさんは、25歳のスラっとした色白美人で、とてもしっかりしている

彼女の期待に応えられるよう、早く仕事覚えなくちゃ

47歳の私は、着替えと空の弁当が入ったカバンを、持ち直して電車を降りた


一瞬寝たらもう着いた


危うく寝たまま通り過ぎそうになった駅を出て、バス停に急ぐ


時間は昼の13時


眩しい太陽が照らす道は、寝不足の頭をさらにふらつかせる


次回は3日後が仕事かと、ふんわり考えながらバスでもまた寝てしまった


車掌「終点です」


えっあっ終点だ


終点から一つ手前で降りるはずだった私は、ヨタヨタと席をたった

少し戻らないと、ふらふら酔っ払いのような足取りで家に着くと玄関ドアの中に入った途端安心して、少し眠っていた


玄関で寝てた


ほんの30分だけど、玄関マットの上では気持ちよく眠れない


ふらつきながら起き上がる


荷物を置いて手を洗って、上着を脱いだら、座布団を3枚並べた


クッションを枕にしてそのまま3時間爆睡


あー気持ちいい


思い切り眠れるってこんなに気持ちいいんだ


睡眠のありがたさを感じられることが、本当に幸せ


夫が帰って来るまでに起きられて良かった


息子は帰っているみたい


私「息子ーママ起きたよー」


と声をかけると2階から、


息子「はーい分かった」


と返事があった


良かったちゃんと帰ってる


座布団から起き上がると身体の至るところが痛む


あー失敗したとシャワーを浴びた


まだ寝足りない


簡単に野菜炒めとご飯を炊いて、漬物と納豆を用意した


食べてから寝るか、寝ないで食べるか

一瞬迷ったが、食べてから寝た