とうとうバレンタインデー当日
この日は、バイト先の大学4年生の送別会
4年生の4人と2年生1人、上司と同僚女子の鶴さんと私とで8人で焼肉に行った
もう年末から楽しみで仕方なかった焼肉パーティー!
久しぶりにケイくんとも話せるかなと期待していたけど、テーブルが離れてしまった
すっかり塩対応の長明くんとふーくん、2年生のバキくんと同じテーブルだった
ふーくんとバキくんとは普通に話せるけど、長明くんはどうかなーと思ってた
テーブルについてお肉を焼きながら、趣味の話や肉の焼き方など、長明くんもいつもよりは話してくれた
まぁもう最後だしと、気を使ってくれたんだよね
もちろん私も大人ですから、にこやかに気を使っているのか使ってないのかのビミョーな距離感で、優しく話した
思ったより和気藹々
気持ちよくご飯食べたい気持ちはみんな一緒
注文タブレットを手早く操作して、お肉や飲み物をジャンジャンふーくんが頼んでくれた
バキくんは4年生みんなに可愛いプレゼントも用意していた
おしゃれで美味しそうなお酒を貰って4年生達も嬉しそう
パーティの最後に大人組からのプレゼントは車の模様のハンカチだった
洗車バイトにちなんで選んだハンカチは、同僚女子の鶴さんが見つけてくれた
どんな時もバイトを頑張った4年生達に、やり遂げた気持ちを人生のどこかで思い出して欲しい
そんな事を考えながら、泣きそうになるのを我慢して笑顔でパーティは終わった
帰り際、ケイくんに
私「けっこう飲んだ?」
ケイくん
「はい、飲みましたー」
顔が真っ赤
口元の髭が綺麗に整えられていた
やっぱりカッコいい
私「良かったねー」
何気ないやりとり
このやりとりも後何回あるのだろう
もうシフトそんなに入らないよね
ミスター
「学生はカラオケ行くぞー!」
大人組と学生組はそれぞれ逆方向に
バイバイ手を振る
みんな笑顔で手を振った
帰り道二駅分を大人組3人で歩く
私「あー悲しいー!お祝いだけどー寂しい!」
そんな事を言いながら酔っ払い3人
来月から忙しくなるとか、人が来ないとか、仕事の話で気を紛らす
悲しみに向き合うのはもう少し先でいい
そんな焼肉パーティからしばらくして、
3月のバイトのシフトが出た
大学4年生達は卒業に向けて引っ越しなど忙しそうで、シフトはそんなに入らない
ふーくんは3月はバイトにもう入らない
ケイくんは半日だけかぶる日があるみたい
ため息が出そうで出ない
この1年と数ヶ月の時間があまりにも早くて冷たくて容赦ない
きっと楽しすぎたから、その分彼らがいない毎日を想像したくなくなっている
ふーくんとケイくんにはお手紙書こうかな
下書きで定型通りの感謝の文章を書いた後、親切に教えてくれた事やバカな話で盛り上がった時のふーくんとケイくんの顔を思い出した時、もう無理だった
息ができないほど苦しくて、上の子が飛んで来た
上の子
「ママ?大丈夫?そんなに泣いて」
私「ごめん、うるさいよね」
上の子「どうしたの?」
私「ふーくんに手紙書こうとしてたら…ウッー」
上の子
「やばい事なってんねー、
どんなの書いたの?ってまだ5行しか書いてないのに?」
私
「はい、もう文章が頭に浮かんだだけでダメでした」
上の子
「歯にキヌキセヌのとこは、漢字調べなよ」
はい、調べます
