久しぶりに母からの電話がなったのは、朝食の準備中だった
母「今大丈夫?山行ってるの?」
私「大丈夫だよ(電話も山も)どうしたの?」
母「夫くんとの事心配で」
まぁそうだろうなと思った
私の妹の前でも子供をひどく殴りながら叱責した事があったから、私が言っている事が本当だとは分かってくれたみたい
ATMだと割り切れば良いと前回電話した時に母には言われたが、なかなか難しい
私「実は、子供が学校に行かなくなってる」
母「えっ!何で?」
私「受験のストレスとかもあるけど、私達の事も影響していると思う
夫が子供にもっと上の学校に行けるのに勿体無いからもっと勉強した方がいいってすぐ言うし」
母「学歴ばっかり言うものね 勉強は大事だけと、そればっかりもバカらしいと思うわ」
私「うん、勉強も学歴も大事だとは思うよ
行きたいと思う大学に行くのがダメだと言わ れているように思うのかも
もう何もしたくないって、ご飯も食べてくれ ないんだよ」
母「一回帰ってきたら?」
私「帰りたいけど2人の子供の学校の事があるとなかなか予定が合わなくて」
テストや模試の予定があるし、平日は私しかいないからどうしても難しい
でも本当は顔を見て話をしたい
私「心配かけてごめんね
そうだ、梅干しって今年も作ってるよね?
売って欲しいんだけど」
母「あーもう2、3年作るのやめたんよ
身体もしんどいし」
私「えっ?そうだったんだ じゃあしばらくは加 工はしないんだね」
母「多分もう作らんと思うわ」
いつの間にか実家では梅干し加工をやめていた
母は最近手術もしたし、身体が大切だから無理することはないと話して電話を切った
感染症が流行ってから一回も帰ってないから、色々変わっている事が分からない私は、そっと塩昆布をおにぎりの具に入れた
妹が近くに住んでいる事で少し心強いが、親の介護問題もきっと数年以内にははじまるのだろう
おにぎり屋さんの事で計画していた色々が、早くもぐらついてきた
子育て、夫婦関係、仕事と色んなことが縄のように巻き付いている
動きずらい
この巻き付いたような気持ちをどうほどいていけばいいのだろう
できるだけシンプルに考えていきたいのにな
話しながら作ったおにぎりと味噌汁を食卓に並べて子供達を呼ぶ
私「朝ごはんできたよー早くー」
子供達「はーい」
そう返事はするが毎朝このやりとりを5回は繰り返す
下の子供は何とか食べて学校に行ったが、上の子はなかなか降りてこない
子「動くたくない お腹空かない 起きたくない 学校行きたくない」
私「どうするのーとりあえずご飯食べてよー」
子「イヤ ほっといて」
頭が雑巾をしぼるように変形していく痛みを感じながら床に寝転がった
このやりとりをまた繰り返していく
結局お昼過ぎにやっとおにぎりと味噌汁を食べてくれた
ここ数日はほとんどこのくらいしかご飯を食べてくれない
タンパク質をもっと食べさせたいと、豚肉と白菜の煮物のレバー炒めも作ったのに少ししか食べてくれない
食べられないのだろう
食べられないほど悩んでいるか
子供が苦しんでいると思うと私も食欲が出ない
この何日かどんどん無気力になっている
2人とも同じように「何か」にエナジーを吸い取られているみたい
人生の悩む時期に私達はちょうどいるのだ
巣立ちの時と巣立たれる時
自分がどう生きたいのか分からなくなっている
どう生きたいか決める時に、夫や家族に認められるか、社会的に認められるか、常識で考えて妥当かとかどうでもいい事がちらついて、本当に自分がしたいっていう声が小さくて聞こえにくい
私ってどう生きたいのかだけをピンポイントに考えられない
かっこいい仕事
儲かる仕事
家族が納得する仕事
家族が恥ずかしくない仕事
そんなどうでもいい価値基準が拭いきれない
家族と生きていくのなら、家族に迷惑にならない仕事を選ばないといけないと、無意識に思っていた
何にも忖度しないで考えたと思っていたおにぎり屋さんも、梅干しは実家に注文しようと勝手に甘えていた
家族だから甘えていた
考えが矛盾している
何をしたいかも自分では決められないのか
バイトのシフトを増やして年金も払うようにするのが、一番簡単だ
体力が必要な事と、週5日入っても収入が年190万円にしかならないから、別バイトを増やす事も検討する必要があるのかも
バイトバイトの人生になりそうで、やばい
