熱中症になってから次のバイトまでは1週間ある


半袖半パンで作業していたのに熱中症になったから、つなぎなんてもう夏の間は着られないだろう


んー半袖半パンは40代にはキツイ


立派なふくらはぎの筋肉と贅肉が憎々しいと、指で摘んでもなくなる事はない

どうしよう

もう少し足だけでも細くならないかな

誰も気にしないことは分かっているが、私が気になるのだから仕方ない

たった1週間で足がほっそりするはずないけど、一応マッサージくらいはしておくかと、わずかな羞恥心が背中を押す


足が細くなるストレッチ


足が細くなるエクササイズ


足が細くなるマッサージをそれぞれ試した


1週間後

やはり足はさほど細くはならなかった

わずかに太ももがほっそりしている気はするが半パンで隠れる所だ

それでも幾分か気持ちが楽になった


バイト当日はやはり日差しが殺人的

紫外線が強いこともあり、生足はまずいかと薄いレギンスを履いた上に半パンを履くことにした

首には濡らして使う冷感タオル

アームカバーも濡らして少しでも涼しくなるよう努めた


私「先日はご迷惑とご心配をおかけしました」


上司や同僚に挨拶して言葉を交わす

改めて職場の人達の優しさや配慮に感謝した

もう体調不良を起こさないよう気をつけて仕事をしようと、心に決めたのだが…


暑い

頭がクラクラする

ふらついて車に轢かれそうになった

本当にすみません

事故案件にならないよう気をつけようと思っても、暑さで脳がバグってしまう 

汗が目に入り塩気で目が痛んだ

化粧は午前中の3時間でほぼ流れ落ち、赤く焼けた部分が痛む

お昼休憩の時、流れたメイクをティッシュで押さえながら考えた


こんなに過酷な環境でも半分楽しい気持ちがあるのはなぜだろう


やっぱり身体を動かしていると、気持ちが落ち着くような気がするから?

それとも?

ここにケイくんが居てくれたらもっと楽しいのにと、無意識にそこに居ることを想像しているから?


後ろ姿

刈り上げた髪

切長の大きな瞳

優しい声

はにかんだ笑顔


全部が私を強く優しくしてくれている

残念なことに、夏休みに入ったケイくんはシフトに1ヶ月も入らない

その寂しさを会えることの楽しみに、脳内で無理矢理変換させる

そのせいかバグりやすい夏の脳が、ケイくんの幻影を見せようとしてくれる

見たいものしか見えないようにしてくれる

だからしばらく会えなくても大丈夫だと、自分に言い聞かせる

いつも心に太陽があるように、いつもきっと心にケイくんがいてくれる

例え辛い恋心にサヨナラを伝えても、無くならない気持ちが残ったから、その残った何かは心の宝箱にしまっておこう

それだけでもう幸せになっている

本当に幸せ

この気持ちが幸せなんだと噛み締めた