昨晩はやっぱりというかほとんど眠れなかった。
寝不足のままスマホのアラームを止める。
とうとうインストラクターバイト最後の日だ。
バイトを始めて1ヶ月。
毎日ふわふわとした心もとない気持ちで、仕事をしていた。
それも今日までだ。
新しい生活に希望を持っていた1ヶ月前とはちょっと違う希望をなぜか今持っている。
バイトを辞めて、また元の生活に戻る事は戻るのだが、全然以前とは違う私がこの1ヶ月で出来上がった。
通い慣れた通勤ルートを何も考えずに通りながら、パスの残高をチラッと確認した。
帰りの電車代も大丈夫。
おっちょこちょいでよく財布を忘れるから、電車代は少し多めにチャージするクセがついた。
多少のアクシデントにも驚かない。
驚いても仕方ない。
さあどうするかと、すぐに分らない事はきいて対処できるようになっていた。
少し仕事にも自信はついていたのだと思う。
私は、ただお年寄りが目の前で怪我をしたり、亡くなった話を聞く事が嫌なんだ。
全然割り切れると思っていたけど、仕事として割り切れない部分がそこなら、続けることはできない。
そういう自分が少し分かった事と、インストラクターのバイトを通して健康や筋トレが思った以上に私は好きなんだという事も分かった。
今まで洗車バイトで身体を動かす事も苦痛でなくスポーツのような面白さを感じていたが、本当のインストラクター業務はそれ以上に楽しかった。
身体を動かす事も楽しいが、その仕組みが分かって健康効果の大きさが具体的に分かるとより楽しかった。
楽しいを仕事にできるって幸せだったんだ。
そう考えながら習慣になりつつある朝のコーヒーを街路樹の下でゆっくり飲む。
いつもの街路樹とも今日でお別れか、何の木なんだろう。
マロニエかな?
ゆっくりコーヒーを飲み干した。
さあ、行きますか!
私「おはようございます!今日一日よろしくお願いします。」
明るくあいさつをしながら職場へ入った。
スタッフ「はーい、おはようございます。」
いつもの仕事が始まる。
最終日は、インストラクター業務より、マシーン補助がメインだったからお年寄りが怪我をしないように注意して指導した。
時々スタッフさんに最後のバイトのあいさつをしたり、謝ったりしながら一日が終わった。
いつも会うお年寄りが寒い寒いというから、ブランケットで身体を包んで、ゆっくり背中をさすった。
私「少しあったかくなりましたか?」
お年寄り「そうだなー、あったかくなってきたけど今日はなんか寒いんだよーおかしいなー上着どこかに置き忘れたかなーあのすみにないかなー」
私「見てきましたけど、なかったんですよー。とりあけず暖かくなった方がいいからブランケット使ってくださいねー」
お年寄り「そうかーなかったかーどこにいったかなー」
そんなやりとりをしながら、心の中で今までありがとうございましたと、あいさつした。
スタッフへの退職のあいさつも終わり、職場の隅々まで掃除機をかけ職場を後にした。
本当にお世話になりました。
誰にも怪我をさせる事なく終わって良かった。
ほっとした。
もし縁がありましたらまたよろしくお願いいたします。
