インストラクターのバイトは後1回勤務したら退職だ。

悩むこともあったが、業務内容などは楽しかった。

休憩時間には、スタッフ同士で体操の内容の説明や出身地など楽しく話したことを思い出す。

人にも恵まれていたんだと思う。

スタッフの顔を思い浮かべると、急に辞めることになって、本当に申し訳ない気持ちになった。


ふとスマホを見ると、インストラクターの上司から電話が入っていることに気づいた。


私「お疲れ様です。お電話出られなくてすみません。今大丈夫でしょうか?」


上司「あーお疲れ様!実はね私さん、やっぱり会社規定とかあるから、後1ヶ月かせめて来週いっぱいまで仕事きてもらえないかな?」


私「えっ…そうですよね。どうしようかな。」


上司「私さんは考えすぎなんだよ、気楽にマシーントレーニングだけでもいいから出られない?こっちも人が足りないからさ。」


どうしよう、出られると言ったら翌週もと言われそうだ。でも私のせいだよね。ごめんなさい。


私「申し訳ないのですが、やっぱり怪我をさせないかマシーントレーニングの時も神経をすごく使います。お怪我させたらと思うと恐ろしくて。」


上司「そうだよね、無理言ってるってわかってるんだけど、そうだよね。分かった。明日はしっかりきてね。」


私「本当にすみません。明日は精一杯頑張ります。」


そう話して電話を切った。


本当にすみません。

お年寄りに怪我をさせるかもと思うと、やっぱりこわいんです。

気のいいお年寄りの方をもし寝たきりになるような怪我をさせたら…

きっと私は耐えられない。

事故だと分かっていても、心から申し訳なく思って自殺してしまうかもしれない。

そのくらい、誰かを傷つけたくない。

もう誰も傷つけたくない。

私も傷つきたくない。

やっぱり私のわがままなんだと、申し訳ない気持ちになった。

明日は本当に気をつけてお仕事頑張ろう。

たった1ヶ月のことだけど、私にとって学ぶことの多い1ヶ月になった。

自分にはやる能力があっても出来ない事があるということ。

身体が不自由なお年寄りの介助をするには専門的な知識が必要な事。

見よう見まねでできるかもと思っていたが、そんな甘い事ではない。

その仕事をするにはしっかりと覚悟が必要なんだ。

インストラクターとかトレーナーの求人だと思っていたが、介助もとなると私には荷が重すぎる。


明日は精一杯頑張ります。


もう一度、そう心の中で呟いた。