洗車バイト中、ケイくんは相変わらず長明くんとべったり話しながら仕事をしている。
あー疎外感がエグいんです
まるで私がいないような扱いは本当に心が折れる
そんなに嫌いなの?って哀しくなる
仕事で頼んだ事をやってもらったから、ありがとうって言ったら無視された
もう無理だよね
哀しすぎる
わざと無視しているんだから、本当に私のこと嫌いなんだ
涙が溢れそうになって、手に持っていたマイクロファイバータオルをバケツに雑に脱げ入れた
バシッ
思ったより勢いがついてしまった
私こんな事できるようになったんだ
物に八つ当たりなんて何年振り?
ふふって変な笑いが込み上げてくる
心で泣きながらも笑えてくる
さっきまでのイライラがマイクロファイバータオルと一緒に水の中に沈んでいった
こんな気持ち久しぶりだよ
好きな人に無視されてイライラするなんて、中学生ぶりかも
好きな人…
そう思ってしまうから切ない
こんなに苦しい気持ちで私大丈夫なのかな
何だか死んでしまいたいくらいの恥ずかしさと苦しさで、心が絞り切られてしまいそう
もうシフト被らせないよ
ちゃんと気持ちに、自分の恋の気持ちにサヨナラをしよう
サヨナラ
サヨナラ
サヨナラ
これからは出来るだけシフト被らせないようにするよ
ケイくんが嫌な気持ちにならない方がいい
その方が私も気楽になれるかも
今まで嫌な気持ちにさせてごめんね
ごめんねじゃないか
今まで嫌な気持ちになってたのは私も同じだから、自分を大切にしなかったのは私自身かな
ごめんね、私さん
辛い恋からは離れた方がいい
どんなに好きでも叶えられないことはある
叶えられることをしよう
私が私をもっと大切に扱おう
ケイくんのことは縁がなかったんだよ
はじめから当たり前に縁がなかったんだよ
既婚者なんだよね私
結婚したことを後悔することは初めから分かってたよ
だって不自由だ
好きに生きられないよ
事実婚にすれば良かったのかな
それはそれで不自由なのかな
結婚が合ってないんなら仕方なかったんだ
