車の修理費は、9万円だった。

バイト先の上司が少し安めにしてくれたけど、今月のバイト代のほとんどが飛んで行った。

頑張ってるんだけどなー、そう思いながら空を見上げて背伸びをした。


バイトの面接後に夫から言われた言葉を思い出した。


私「バイト採用になったよ!」


迎えに来てくれた夫に、車に乗り込んですぐに伝えた。


夫「最っ低。」


私「えっ」


その返答はまさかだった。

応募の時は別にいいと言っていたのに…

最低って、どういう意味?


最っ低?


明らかに不機嫌オーラを出している夫に、何も言えない。

またいつもの突発性不機嫌症候群がはじまったのか。

夫は、最低という言葉の続きは言わず、仕事の愚痴を話し出した。


私「へーそうなんだ、大変だね。」


そんな事を言い、窓を少し開けて聞いているふりをした。

歩道を歩く人や自転車を何となく見る。

最低という言葉が胸に突き刺さったままの私は、マリオットのように何かに操られているような気分だ。

私の顔はほぼ無表情になる。

なぜこう突然ひどい言葉を、夫はなげつけてくるのだろうか。

傷ついていないふりをいつまですればいいのか。


好きな人に言える言葉ではない。


あんなに私を好きだと言っていたのに、気分がいいと常に言ってくるのに。

それなのに、この態度の急変がいつも私をモヤモヤさせる。


夫は、私のことを傷つけたくてたまらないのかもしれない。


応援しているふりをして、私を叩き落としたいのかもしれない。


夫「働がなくてもいいのに、かわいそう。」


仕事の相談の時もかわいそうと言われたっけ。

かわいそう?

可哀想?

私はかわいそうなの?

心が萎れていく。

死にたいって、気軽に思えてくる。