バイトにも慣れ、生活のリズムが出来始めた私は、調子になっていたのかもしれない。

 ダイエットまでできて、おしゃれが楽しくて、毎日が充実していた。

だから、何が起こっても対処できると思っていた。


朝から降り続く雨、子供の塾での面談時間が迫っていた。

18時までに着かなきゃと焦っていた。

塾の近くの駐車場までは、一方通行で、途中にスポーツジムとスーパーがあった。

車で通り抜けようとしたら、スポーツジムの駐車場待ちの黒い車が道を塞いでいた。


私「一方通行を塞がないでよね!」

少し苛ついて、プッとクラクションを鳴らした。


するとその車は、クラクションを鳴らしながらバックでこちらに進んで来る!

こちらもクラクションを鳴らしてバックした。

何してんの!

怖いわ!

怒りで思わず車を飛び出した。


私「すみません、駐車場待ちされてるのはわかるのですが、道を塞がないように停めて頂けませんか?」


丁寧だが、明らかに怒って言った。


金髪で黒縁眼鏡の細身の男が、窓から私に、

「うるせークソババア!待ってるのが分からないのかよ!バカババア!死ね!」

見ると助手席には小学生くらいの女の子がうつむいて座っている。

こんな男が父親なら気の毒でしょうがない。


私「待ってるのは分かってます。バックしてくるとか危ないからやめてよね!」


金髪「何だとこのやろー、ぶつけるわけないだろうが、クソババア!」


もう本当に嫌になる。

話が通じないだけでなく、頭がおかしい。


私は車に戻った。腹が立つ。

男は、しばらくしてスポーツジムの駐車場に入った。

私はその奥のスーパーの駐車場に入って、警察に電話した。


警察「今から行きましょうか?」

事情を話すとそう言われたが、塾の面談があるため、断った。


警察「何かあれば、管轄警察署まで電話を掛けてください。」


その言葉に少し安心した私は、電話を切り塾へと急いだ。


しばらく面談をしてから戻ると、車には傷がつけられていた。

20センチくらいの傷が2箇所。

きっとあの金髪男だろう。

警察を呼ぶか?

もう夕食を作りに帰りたい。

一旦帰って夫に相談しよう。


帰ってから、スーパーでついた傷か、他のところでついた傷か分からないのではないか、

という話になった。

確かにあの男だと言う証拠はない。

ドライブレコーダーは、エンジンが止まっている間は、記録できないタイプだった。

翌日警察に電話すると、現場検証をしたいという事になった。