いよいよ映画の本編がはじまった。


息を潜めてオープニングから集中する。

ほんの一瞬の情報も逃さないように、心を全開にして映画の感情と展開を楽しんだ。

人物への感情移入で何度も泣きそうになりながら、ぐっと我慢する。

それでもやはり涙が出た。

気取られないようにと、そっとハンカチで目を押さえるが、ケイくんにも娘にもバレていた。


鑑賞中、何度かケイくんが大きく頷くのを視界の端でとらえた。

うんうんと、頭を上下に動かしている。

映画楽しんでくれて良かった…

大好きな作品だから、絶対楽しいとは思うけど、ちゃんと楽しんでくれていて安心した。

もちろん、その動きが可愛すぎて癒される。

後で頷いてたねと言おうかな、それとも言わない方がいいかな?

少しシャイなところもあるケイくんが、バツの悪そうな顔をするかもと思い、言わない事にした。


娘も集中して観ている。

娘の隣の客が何かガサガサ音を立てるが、気にしないよう余計に集中して観た。

あっという間に2時間が過ぎ、クライマックスの後エンドロールを感動の中見続けた。

全てが終わり、まわりが明るくなる。

どっと集中が切れた3人は、疲れから少しふらつきながら席をたった。


私「はぁー、良かったねー」


ケイくん「良かったですねー」


娘「すごいでしょうー」


3人とも映画の話がしたくてしょうがない。

映画館の売店で映画の話をしながら、グッズを物色すること1時間。

そう、気づいたら1時間も売店にいた。

それぞれ気になるグッズを、あれだこれだと話しながら購入した。

私は推しキャラのタオルハンカチを2枚と、キーホルダー、くじ引きタイプのチャームを購入した。

映画2時間の後に1時間売店にいたせいで、すっかり鰻重パワーが尽きたため、カフェに入る事にした。

3人で話せそうなカフェを探して、席が空くのを待った。